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尿酸は抗酸化作用によってニューロンを保護する [善玉・悪玉概念の否定]

細胞内尿酸値を上昇させることにより、LPS誘発パーキンソン病(PD)モデルにおいて、活性化ミクログリアによって誘導される炎症から保護したと報告されている。

尿酸は、炎症促進性サイトカイン産生、誘導性シクロオキシゲナーゼ2および酸化窒素シンターゼ発現を抑制して、活性化ミクログリアの毒性作用からドーパミン作動性ニューロンを保護した。

また、尿酸の神経保護効果は、インターロイキン10およびトランスフォーミング成長因子β1などの、抗炎症因子の刺激と関連している可能性がある。

神経保護効果は、腎臓において尿酸を再吸収する、グルコーストランスポーター9および尿酸トランスポーター1(URAT1)の両方の阻害剤であるプロベネシド(PBN)の前処理によって無効となった。PBNはまた、尿酸の抗炎症作用を消滅させた。

尿酸投与によって、リポ多糖(LPS)誘発PDモデルラットにおける運動協調の損失が逆転した。さらに、血漿尿酸値の上昇は、URAT1発現の減少、インターロイキン-1βの発現増加、およびイオン化カルシウム結合アダプター分子1-陽性ミクログリア数をそれらの形態変化と共に削減した。

高尿酸血症が心血管疾患や腎障害を悪化させる可能性があると考えられている。

一方、痛風がパーキンソン病やアルツハイマー型認知症、および血管性・非血管性認知症の減少に関連するとの報告が増えている(Lancet 2016; 388: 2039-2052)。

高尿酸値とPD発症リスクが低いこには相関があり、疾患の進行速度の低下も報告されている(Arch Neurol. 2008;65:716–23.Schwarzschild MA, Constantinescu R, Drugs Today. 2011;47:369–80. )

尿酸は通風の原因として、とかく悪玉とみられているが、単なる老廃物ではない。糸球体で濾過された尿酸は、尿細管上皮細胞の管腔側に発現するURAT1/SLC22A12と、血管側に発現するGLUT9/SLC2A9(URATv1)の2つのトランスポーターによって90%が再吸収され、尿中に排泄されるのは残りの10%に過ぎない。つまり、必要性があるからこそ、腎臓は一所懸命尿酸を再吸収しているのである。

尿酸の生理学的役割として抗酸化作用が重要である。その認識は、1970年のNatureの論文(Nature 1970; 228: 868)が発端となった。活性酸素やフリーラジカルによる過剰な酸化作用は、細胞膜の脂質の酸化といった様々な組織障害を引き起こす。その主なものとして、例えば、海馬の神経細胞の酸化による障害によってアルツハイマー型認知症、黒質ではパーキンソン病などの、炎症反応に関与する。

日本における「高尿酸血症・痛風診療ガイドライン」では、無症候性高尿酸血症への薬物治療の導入は血清尿酸値8.0mg/dL以上を一応の目安としている。しかし、米国リウマチ学会の痛風ガイドラインでは、無症候性高尿酸血症の治療を推奨していない(Arthritis Care Res2012; 64: 1431-1446)。適応はより慎重にすべきである。

出典文献
Urate inhibits microglia activation to protect neurons in an LPS-induced model of Parkinson’s disease
Li-Hui Bao, Ya-Nan Zhang, Jian-Nan Zhang, et al.,
Journal of Neuroinflammation201815:131
https://doi.org/10.1186/s12974-018-1175-8

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ドライアイにオメガ3脂肪酸は効果無し [薬とサプリメントの問題]

ドライアイは、眼の不快感および視覚障害を特徴とする疾患で、生活の質を低下させる。多くの臨床医は、n-3脂肪酸(オメガ3脂肪酸)のサプリメントを推奨しているようだ。

しかし、OSDIスコアの平均変化に活性サプリメント群とプラシーボ群で有意差はなかった。さらに、結膜染色スコア、および角膜染色スコアも、ベースラインに比べて有意な変化は認められなかった。

この試験は、27臨床施設における多施設二重盲検臨床試験。923名のドライアイ患者から、適格した349名を無作為に、プラシーボ群(オリーブオイル)と、活性サプリメント群EPA2000mg、DHA1000mgに分けて毎日服用させ、1年間観察したもの。

主要転帰は、眼球表面疾患指数(OSDI;スコア0〜100、スコアが高いほど症状の重症度が高い)のベースラインからの平均変化(6および12ヶ月)。二次転帰は、結膜染色スコア(0〜6の範囲)、および角膜染色スコア(0〜15の範囲)の眼球当たりの平均変化。眼球表面のより深刻な損傷を示す高いスコア、ならびに涙液分裂時間(涙液膜の瞬きと隙間との間の秒数)およびシルマー試験(下まぶたに置かれた紙片の濡れの長さ:より低い値はより重度の徴候を示す)の結果で評価。

OSDIスコアの平均変化は、活性サプリメント群 −13.9ポイント、プラシーボ群−12.5ポイントで有意差は無かった。欠損データの補完後変化の平均差-1.9点(95% confidence interval [CI], −5.0 to 1.1; P=0.21)で、有意差無し。.

二次転帰も、ベースラインから12ヶ月の平均変化は、結膜染色スコアの変化の平均差は0.0ポイント(mean difference in change, 0.0 points; 95% CI, −0.2 to 0.1)。角膜染色スコアは0.1ポイント(0.1 point; 95% CI, −0.2 to 0.4)、涙液分裂時間0.2秒(95% CI, −0.1 to 0.5)、Schirmer’s test 0.0 mm(95% CI, −0.8 to 0.9)で、何れも有意差無し。

12ヶ月時点で、赤血球中のn-3脂肪酸のレベルから、活性サプリメント群における治療への遵守率は85.2%であった。有害事象の割合も2群で同様。

出典文献
n−3 Fatty Acid Supplementation for the Treatment of Dry Eye Disease
N Engl J Med 2018; 378:1681-1690
DOI: 10.1056/NEJMoa1709691

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膝OAに見られる骨髄浮腫は全膝関節形成術のリスクに関連する [膝OA]

変形性膝関節症(膝OA)のMRI所見において、骨髄浮腫(bone marrow edema;BME)の存在と将来における全膝関節形成術(TKA)の必要性との間には強い相関が認められている。一方、半月板裂傷の存在や軟骨の損失はその後のTKAとは相関しなかった(少々古い文献だが)。

グループの年齢差を考慮して、一般化された推定を用いた多変数ロジスティック回帰モデルを実施。将来におけるTKAの必要性は、全身BMEパターンを有する対象は、BMEなしで焦点、嚢胞陽性の対象と比較して5.45倍(p <0.05)。さらに、全身BMEを有する対象はBMEを認めない対象と比較して13.04倍(p <0.01)であり、BMEの存在は膝OAの悪化と強く相関した。

すなわち、BMEのグローバルパターンは、3年以内ににおけるTKAリスクの最も良い予測因子であった。

さらに、直観的には、軟骨の損失が大きいほど人工膝関節全置換術の可能性が高いと予想されるが、MRイメージングにおける軟骨喪失の程度と人工膝関節全置換術は有意な相関を示さなかった。

OAの病態は、古典的には、関節周囲の硝子軟骨の劣化に関連していると認識されているが、正確な病因および疼痛の原因は不明。

MRI上で明るく見える軟骨下骨の領域は、確立されたOAおよび前臨床OA において一般的に観察され、骨髄病変(bone marrow lesions;BMLs)と呼ばれている(1.2)。いくつかの最近の研究でも、BMEを含むBMLとOAの進行やTKAリスクとの関連性が示唆されていた(1.3.4.)。

BMEは、T1強調画像上の低信号強度の領域として定義され、T2強調画像上の中間または高信号強度の所見に関連している。文献上、BMEには2つの異なるタイプがある。第1のタイプは関節の外傷による損傷で、数週間から数ヶ月で自発的に解消する。第2のタイプのBMEは外傷を伴わずに発症し、BME病変とMRI上のOA所見の進行が関連すると指摘されている(5.6.7.8.)。

尚、最近、後ろ向き研究によって、膝の骨関節炎における痛みを伴うBMEに対する体外衝撃波治療(ESWT)の有効性が報告されており(9)、膝OAの新たな治療法となる可能性がある。

追伸
最近の研究では、関節リウマチ(RA)において、MRIで認められる骨変化は病状の活動性や関節破壊の予後を決定する因子であることが指摘されている (10.11.)

RAをはじめとする関節炎で認められる骨髄浮腫は、骨髄の炎症を反映しており、リンパ球を主体とした炎症細胞の浸潤であると考えられている。骨髄浮腫はCRPやDASなどとも相関し、臨床的にも炎症の活動性と関連している。骨髄浮腫は骨侵食の前駆状態として、関節破壊や関節機能の予後を予測する重要な因子である (12.-15.)。

MRIでは、骨皮質や骨髄の炎症が骨侵食や骨髄浮腫として描出される。このように、滑膜炎から骨侵食および骨髄浮腫に至る過程に見る、RAとOAとの病態の違いと共通性を明らかにすることが重要と考えられる。

出典文献
Bone marrow edema in the knee in osteoarthrosis and association with total knee arthroplasty within a three-year follow-up
Courtney Scher, Joseph Craig, Fred Nelson3,
Skeletal Radiol. 2008 Jul; 37(7): 609–617.
Published online 2008 May 8. doi: 10.1007/s00256-008-0504-x

引用文献
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9. Shuhua Kang, Fuqiang Gao, Jun Han, Tianli Mao, Wei Sun, Bailiang Wang, et al., Extracorporeal shock wave treatment can normalize painful bone marrow edema in knee osteoarthritis, A comparative historical cohort study, Medicine (Baltimore). 2018 Feb; 97(5): e9796. Published online 2018 Feb 2. doi: 10.1097/MD.0000000000009796

10. Tamai M, Kawakami A, Uetani M et al : Bone edema determined by magnetic resonance imaging reflects severe disease status in patients with early-stage rheumatoid arthritis. J Rheumatol 34 : 2154-2157, 2007

11. Hetland ML, Ejbjerg B, Horslev-Petersen K et al : MRI bone oedema is the strongest predictor of subsequent radiographic progression in early rheumatoid arthritis. Results from a 2-year randomised controlled trial(CIMESTRA). Ann Rheum Dis 68 : 384-390, 2009

12. McGonagle D, Conaghan PG, O'Connor P et al : The relationship between synovitis and bone changes in early untreated rheumatoid arthritis : a controlled magnetic resonance imaging study. Arthritis Rheum 42 : 1706-1711, 1999

13. Benton N, Stewart N, Crabbe J et al : MRI of the wrist in early rheumatoid arthritis can be used to predict functional outcome at 6 years. Ann Rheum Dis 63 : 555-561, 2004

14. Zheng S, Robinson E, Yeoman S et al : Magnetic resonance imaging(MRI)bone oedema predicts 8 year tendon function at the wrist but not the requirement for orthopaedic surgery in rheumatoid arthritis patients. Ann Rheum Dis 65 : 607-611, 2005

15. Magnetic Resonance Imaging Bone Edema at Enrollment Predicts Rapid Radiographic Progression in Patients with Early RA: Results from the Nagasaki University Early Arthritis Cohort
Yoshikazu Nakashima, Mami Tamai, Junko Kita, et al.,
The Journal of Rheumatology July 2016, 43 (7) 1278-1284;
DOI: https://doi.org/10.3899/jrheum.150988




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膝OAの有病率への疑問 [膝OA]

変形性関節症(OA)による疼痛は、慢性疼痛の最も頻繁な原因の1つ。中でも、膝OAは我が国における推定患者数は1,000万人と言われており、今後、高齢化によって増加することが予想されている。因みに、一般集団における有病率は6% – 8%(Carmona et al., 2001; Dillon et al., 2007)であるのに対し、高齢者では13% – 26% (Zhang et al., 2002)と高くなる。

我が国における有病率は2,500万人で、有症率は800万人と言われている。しかし、本当だろうか。私は、これらの数値を信用できないのである。

膝OAは、単純X線所見における、大腿骨脛骨関節裂隙の狭小化や骨棘の有無で判定する。しかし、画像所見と臨床症状は一致しない。さらに、膝OAには一般化された明確な定義も診断基準も存在しない。したがって、有病率およびリスク要因を推定することは無理がある。

例えば、Nelson A. E., et al.,の報告では、「一般化骨関節症(GOA)」という矛盾した定義を前提として、Medline文献を検索して入手した関連する論文は108件の全文レビューを含む948件で、GOAの定義は15以上であった。

集団研究によると、単純X線によるOA変化と膝関節痛との不一致が報告されている。関節損傷を示す単純X線所見は関節痛の素因にはなるが、痛みの根本的な病理は単純X線所見のみでは識別できない。

医師は、目の前の患者に、何を根拠として「変形性膝関節症です。」と宣言しているのか。X線画像か、臨床症状か。

MRIなどの画像検査によって、半月板裂傷、滑膜炎、軟骨下骨髄病変、関節下骨の摩耗、および関節水腫のような構造変化が膝痛に関与することは明らかである。 しかし、MRI画像における骨髄病変や炎症マーカーは膝OA患者の痛みに関連してはいるものの、それらの構造変化が痛みに与える影響の程度は不明である。その主な理由として、研究対象が関節症性変化の後期であるため、既に、様々な病理学的変化が混在しており、その中の1つひとつの構造変化が病状に与える影響を検証することが困難であることが挙げられる。

病理学的変化の異質性は、疼痛に関連する特定の構造的変化、および病原性変化が同定され得るかどうかの問題を提起している。

Siebuhrらは(2016)は、OAの初期段階を発症要因によって、滑膜駆動OA(炎症を特徴とする)、軟骨駆動OA、軟骨下骨および骨髄病変駆動OA、外傷駆動OA、半月板病変その他駆動OAの4つに分類している。 進行段階では、異なる病理学的過程が組み合わされて同様の最終段階の表現型に進展すると考えている。

治療において最も重要なのは、膝OAの痛みの原因解明と的確な治療法の確立であることは言うまでもないことだが、現実には遅々として進歩していない。

Annett Eitnerらは(2017)はレビューの中で、OAの痛みに関与していると考えられるメカニズムとして、3つのレベルを考慮している。(1)OA関節における局所病理学的プロセス。 (2)OAの疼痛に関与する疼痛処理のニューロン機構および変化。(3)OAの疼痛において、役割を果たす可能性のある遺伝的および代謝的因子などの一般的因子。

膝OAの痛みについては、後日、原因と治療法を含めて文献的に考えたい。

引用文献
Carmona L., Ballina J., Gabriel R., Laffon A., EPISER Study Group . (2001). The burden of musculoskeletal diseases in the general population of Spain: results from a national survey. Ann. Rheum. Dis. 60, 1040–1045. 10.1136/ard.60.11.1040 [PMC free article] [PubMed] [Cross Ref]

Dillon C. F., Hirsch R., Rasch E. K., Gu Q. (2007). Symptomatic hand osteoarthritis in the United States: prevalence and functional impairment estimates from the third U.S. National Health and Nutrition Examination Survey, 1991–1994. Am. J. Phys. Med. Rehabil. 86, 12–21. 10.1097/phm.0b013e31802ba28e [PubMed] [Cross Ref]

Zhang Y., Niu J., Kelly-Hayes M., Chaisson C. E., Aliabadi P., Felson D. T. (2002). Prevalence of symptomatic hand osteoarthritis and its impact on functional status among the elderly: the framingham study. Am. J. Epidemiol. 156, 1021–1027. 10.1093/aje/kwf141 [PubMed] [Cross Ref]

Nelson A. E., Smith M. W., Golightly Y. M., Jordan J. M. (2014). “Generalized osteoarthritis”: a systematic review. Semin. Arthritis Rheumatol. 43, 713–720. 10.1016/j.semarthrit.2013.12.007 [PMC free article] [PubMed] [Cross Ref]

Siebuhr A. S., Bay-Jensen A. C., Jordan J. M., Kjelgaard-Petersen C. F., Christiansen C., Abramson S. B., et al. . (2016). Inflammation (or synovitis)-driven osteoarthritis: an opportunity for personalizing prognosis and treatment? Scand. J. Rheumatol. 45, 87–98. 10.3109/03009742.2015.1060259 [PubMed] [Cross Ref]

Annett Eitner, Gunther O. Hofmann, Hans-Georg Schaible
Mechanisms of Osteoarthritic Pain. Studies in Humans and Experimental Models
Front Mol Neurosci. 2017; 10: 349.
Published online 2017 Nov 3. doi: 10.3389/fnmol.2017.00349

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脾臓は早産児の胚芽出血における二次的脳損傷に寄与する [免疫・炎症]

胚芽出血(GMH)は早産児に発症する一般的な神経学的事象であり、アメリカでは、毎年12,000人の早産児の20%が妊娠32週前までに発症する。GMHは死亡率が高く、精神遅滞、脳性麻痺、精神障害などを含む、水頭症や生涯におよぶ神経機能障害をもたらす。

さらに、脳卒中は単なる脳傷害だけではなく、複数の臓器に全身反応を誘発することが示されており、脳と末梢器官との間の潜在的関係を研究する必要がある。特に、脾臓は炎症応答において、末梢免疫細胞を調節する重要な役割を果たしていることが報告されており、二次的な脳損傷に深く関わっている。

この文献のタイトルは、「ビリベルジンレダクターゼ-Aは、eNOS / NO経路を介したトール様受容体4の阻害によって、脾臓によるGMH誘発炎症反応を減弱させた。」である。
Biliverdin reductase-A (BLVRA)の効果を調べることで、eNOS / NO / TLR4経路を介してGMHに応答する、脾臓炎症を調節するBLVRA依存性シグナル伝達経路を明らかにしている。

BLVRAは、ビリベルジンレダクターゼ(BVR)の主アイソフォームを有する多面発現性酵素で、細胞レドックスサイクルにおいて重要な役割を果たす、 ビルバーデン-IX-アルファ(biliverdin-IX-alpha)をビリルビン-IXアルファ(bilirubin-IX-alpha)に変換する。ビリルビンは、強力な抗酸化性神経保護剤であることが示されている(1.2.)。

BLVRAは、インスリンシグナル伝達を調節し、アルツハイマー病における認知機能障害の軽減に寄与するセリン/トレオニン/チロシンキナーゼを有する。BVRの上流にある誘導性アイソザイムヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の調節は、免疫調節、循環完全性、および細胞生存に関連する多因子機構に関与していた。

マクロファージにおけるHO-1のアップレギュレーションは、抗炎症M2表現型を導くインターロイキン(IL)-10を増加させたが、腫瘍壊死因子(TNF)-αは減少した。

TLR4は炎症誘発性遺伝子の転写を活性化するために、下流経路を誘発することによって先天性免疫系に強く関連する典型的なTLRファミリーメンバー(3.)。 IL-1β、IL-6、およびTNF-αを含むTLR4などの炎症性サイトカインが、GMH傷害脳において著しく増加することが実証された。 これらの効果は、BLVRA治療によって弱められた。 ビリベルジンレダクターゼは、TLR4のような前炎症性エフェクターのAP-1部位に直接結合することにより炎症調節因子として機能する(4.)。 また、BLVRAノックダウンが脾臓炎症を悪化させることからも、BLVRAがGMH誘導性の脾臓炎症反応を減少させるのに重要であることが示唆された。

しかし、私は鍼灸師なので、炎症性疾患に関与する末梢免疫系の調節における脾臓の作用に関心がある。

脾臓は、大量の免疫細胞を貯蔵する二次末梢免疫臓器であり、脳損傷後に炎症誘発反応を生じさせる(5.)。

脾臓が脳卒中後の神経変性を促進するメカニズムとして考えられるのは、脾臓萎縮および末梢免疫細胞の放出に寄与する交感神経系の活性化によるものである(6.)。 これらの炎症誘発性免疫細胞は脳に浸潤し、神経炎症および神経変性を悪化させる。

交感神経活性化(7.)、走化性サイトカイン産生(8.)、抗原提示(9.)など、脳卒中による多くの脾応答が研究されている。脳卒中によって、脾臓収縮が誘発されると脾臓細胞は循環して原発性脳損傷の領域に蓄積する。一方、脾臓摘出術および脾臓照射は、脳損傷によって誘発された脾応答を正常に減弱して脳病変サイズおよび神経変性転帰の減少に寄与する(10,11,12)。

この他にも、肝硬変において、脾動脈の結索や脾臓の摘出によって肝機能が改善する。

出典文献
Biliverdin reductase-A attenuated GMH-induced inflammatory response in the spleen by inhibiting toll-like receptor-4 through eNOS/NO pathway
Yiting Zhang, Yan Ding, Tai Lu, Yixin Zhang, Ningbo Xu, Devin W. et al.,
Journal of Neuroinflammation201815:118 https://doi.org/10.1186/s12974-018-1155-z

二次引用文献
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Dore S, Sampei K, Goto S, Alkayed NJ, Guastella D, Blackshaw S, Gallagher M, Traystman RJ, Hurn PD, Koehler RC, Snyder SH. Heme oxygenase-2 is neuroprotective in cerebral ischemia. Mol Med. 1999;5:656–63.
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新生児集中治療室における多剤耐性酵母感染の予測因子は体温計だった [医学一般の話題]

新生児集中治療室(NICU)における多剤耐性Candida auris感染の発生が、多用途温度計の使用に関連していると報告された(オックスフォード大学David Eyre博士ら)。

多くの患者に使用する腋窩部温度モニタリングはオッズ比6.8で、C.auris感染の独立した予測因子だった(OR 6.80,95%CI 2.96〜15.64、P <0.001)。

(欧州臨床微生物感染症学会(European Microbiology and Infectious Diseases)の年次総会である欧州微生物学・感染症会議(ECCMID))

酵母Candida aurisは一般環境ではほとんど検出されなかったが、マルチ患者使用機器および走査型電子顕微鏡のプローブ表面上で確認された。さらに、その発生は温度プローブの除去後にのみ制御された。

さらに、マルチユース温度計に加えて、全身性フルコナゾールの使用(3件)がリスク増加に関連した(OR 10.2,95%CI 1.64〜63.5、P = 0.01)。

C.auris診断された入院患者の66例中57例が温度計を使用し、一方、コントロールでは361例中122例が使用した。

この研究による知見は、説明できない医療関連アウトブレイクでは、特に、マルチユースの患者機器を慎重に調査する必要性を示している。

出典文献
Epidemiology and successful control of a Candida auris outbreak in a U.K. intensive care unit driven by multi-use patient monitoring equipment.
Eyre D, et al.,
European Society of Clinical Microbiology and Infectious Diseases, ESCMID 2018; Abstract O0172.

医療関連施設における、MRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)、MDRP(multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa)などの、一般細菌による多剤耐性菌感染症は従来より知られている。一方、近年注目されている侵襲性感染症として、2016年6月にCDCは抗真菌薬に多剤耐性酵母Candida auris(C.auris)による感染症についての注意喚起をおこなっている。

CDCがC.aurisによる感染症を懸念している理由は、他のカンジダには認められなかった複数の抗真菌薬に対して耐性を有すること(分離株の約半数が2系統以上の抗真菌薬に対して耐性がある)。また、標準的な検査方法でC.aurisを同定することが困難であること。
したがって、C.aurisは医療施設において、アウトブレイクの原因となる可能性がある。

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変形性膝関節症はいつ発症するのか [膝OA]

変形性膝関節症(膝OA)とは何か?。一般的な認識では、慢性の関節炎を伴う関節疾患であり、関節の構成要素の退行変性によって軟骨の破壊と骨・軟骨の増殖性変化をきたし、二次的に関節炎(滑膜炎)を発症する疾患。しかし、明確な定義や診断基準があるわけではない。

発症過程を時系列で知りたいのだが判然としない。文献を探しても、英語力の問題もあってか、それらしい研究がなかなか見つからない。少し前の文献だが、膝OA発症前から、MR画像によって前向きに追跡調査した報告(2015年)について紹介したい。

膝OAを発症していない中年の被験者を対象として、膝内側のMR画像上における、半月板内信号強度の自然経過を6年以上追跡した大規模コホートの縦断的研究。

参加者340名(45〜55歳)中、ベースラインで膝半月板に裂傷が見られた71名を除く、269名を被験者とした。

ベースラインのMR画像において、膝半月板に、線状の、組織学的病期分類システムに対応する等級の信号強度が26%存在した。この半月板内信号強度は経時的には解消されず、半月板裂傷に進行する傾向があった。線維性半月板内信号強度を呈する160膝のうち、48ヵ月間のフォローアップまでに19%(31膝)が同じセグメントで半月板裂傷を発症した。

組織学的には、内側半月板内のシグナル強度は、粘液変性のバンドまたは小胞形成およびコラーゲンバンドの分離の病巣を表し得る (1.2)。

ベースラインにおいて半月板内信号強度を伴わない被験者では、6年間のフォローアップ後に半月板裂傷が発症するのはわずか3%(11膝)であった。同じセグメントに半月板内信号強度が存在した場合には、時間の経過とともに半月板裂傷を発症するハザード比は18倍高くなった。

このように、半月板内シグナルが時間とともに解決する可能性は低く、内側の変性半月板裂傷の危険因子とみなされるべきであり、早期膝OA発症に重要な役割を果たす可能性があると述べられている。

重要なのは、このコホートの、ほとんどの半月板裂傷は、強い膝外傷によって引き起こされたものではなく、その裂傷の大部分は退行性であったことである。

これらの知見から、半月板の裂傷は、典型的には急性外傷事象の結果ではなく、むしろ遅発的な変性過程であるという証拠が提示された。半月板裂傷が発症したほとんどの被験者が、既に、ベースラインで半月板内信号強度を有していたので、変性による裂傷を発生するまでの正確な経緯は不明である。

退行性半月板裂傷は、X線撮影による膝関節症の有無にかかわらず、45歳以上の人に共通する(3.4.)。このような裂傷は、X線撮影に基づく変形性関節症を発症するリスクの増加と高い関連がある(5.6.)。したがって、筆者らは、半月板内信号強度が疾患が放射線学的に明らかになる以前に膝の変性プロセスを示すかもしれないという、仮説を提唱している。

但し、この調査は、半月板内信号強度が将来的に半月板裂傷に進展することを確認したものであり、この傾向を以て、膝OAのリスク要因とは言えない。

日本国内だけで、現在、患者数は1000万人と推定されている。私が病院を退職して開業してから30年以上経つが、膝OAの治療はほとんど変化なく、進歩していない。

出典文献
Natural History of Intrameniscal Signal Intensity on Knee MR Images: Six Years of Data from the Osteoarthritis Initiative
Jaanika Kumm, Frank W. Roemer, Ali Guermazi, Aleksandra Turkiewicz, Martin Englund,
Radiology. January 2016; 278(1): 164–171.
Published online 2015 Jul 14. doi: 10.1148/radiol.2015142905

追伸

以前にも、同様の報告(2015.7.30.:膝OA発症は滑膜炎・半月板損傷が先行する)を紹介している。これは、前述した一般的な認識とは違い、膝OA発症は滑膜炎が先行するとする意見。重複するが、参考までに簡単に述べる。

変形性膝関節症(膝OA)の病態において、その軟骨損傷は症状やリスク増加と関連しないことは以前より指摘されていること。軟骨における病理学的変化は、膝OAにおける開始事象であるとする一般的な概念は、これを支持する証拠は無い。実際、以前にこのブログで紹介した研究でも、初期の病原性プロセスとして半月板損傷、骨髄病変(BMLs)、および滑膜損傷が示唆されている。

この研究では、膝OA発症の48ヶ月前の355膝を対象にした、性別、年齢、および対照膝について1対1のマッチングによるケースコントロール研究で、MRIによる骨髄病変(BMLs)、半月板損傷、滑膜炎の検査結果を、条件付きロジスティック回帰分析によって評価したもの。

滲出性滑膜炎;HR1.81 [95% CI 1.18-2.78])
内側半月板損傷;HR 1.83 (95% CI 1.17-2.89) at P-2予測放射線OA発生率.
At P-1では。
内側 BMLs;HR 6.50(95% CI 2.27-18.62)でリスクは最高の6.5倍
滲出性滑膜炎;HR2.50 (95% CI 1.76-3.54)

膝OAの症状と病態および疾患の進行において、非軟骨性機能の役割を強調する結果となっている。軟骨はOAの痛みの原因になることはほとんどなく、これは、症状と放射線画像との不一致から従来より指摘されていたこと。

Frank W. Roemer1, C. Kent Kwoh, Michael J. Hannon, David J. Hunter, et al.
What Comes First- Multitissue Involvement Leading to Radiographic Osteoarthritis: Magnetic Resonance Imaging-Based Trajectory Analysis Over Four Years in the Osteoarthritis Initiative
American College of Rheumatology, 2015, Volume 67, Issue 8, pages 2085-2096,
Article first published online: 28 JUL 2015 DOI: 10.1002/art.39176

二次引用文献

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喫煙は左心室肥大, 収縮機能不全, 心不全入院の危険因子と報告 [医学一般の話題]

参加者は、ベースライン時に心不全(incident heart failure;HF)または冠状動脈性心疾患の既往歴のない4129人(喫煙なし2884人、現在の喫煙者503人、元喫煙者742人)の黒人(平均年齢54歳、女性63%)。

交絡因子を調整した後、現在の喫煙は禁煙と比較して、平均左心室マス指数(mean LV mass index)が高く、平均左心室円周歪(mean LV circumferential strain)はより低かった(P <0.05)。喫煙状況、強度、および負担は平均脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)レベルの上昇と関連していた(すべてP <0.05)。

8.0年間(中央値7.7-8.0)の追跡調査で、147件の心不全入院があった。心不全による入院との関連性では、現在の喫煙者の喫煙強度が、タバコ20本以上/日でハザード比3.48(95% confidence interval, 1.65-7.32)と、約3.5倍。≥15 pack-years.では、ハザード比2.06(95% confidence interval, 1.29-3.3)。

タバコの喫煙が左心室の構造と機能に悪影響を与え、結果として心不全発症のリスク増加に関与する。

但し、参加者が黒人のみであることにこの研究の限界がある。また、いつも思うことだが、「タバコの喫煙」として、単純に十把一絡げに扱って良いのか疑問。

BNPは、心不全によるうっ血を解消するために心臓内で生成されるホルモンで、血管の拡張と強い利尿作用を有するとともに、交感神経やレニン・アルドステロン系を抑制して心臓を保護する。このBNPは、心不全の指標として使われ、基準値は20pg/mL以下。Abstractのみ読んでおり、数値が記されていないため詳細は不明。

出典文献
Cigarette Smoking and Incident Heart Failure: Insights From the Jackson Heart Study
Daisuke Kamimura, Loretta R. Cain, Robert J. Mentz, et al.,
Circulation. 2018;CIRCULATIONAHA.117.031912
https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.117.031912

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ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤は炎症性腸疾患のリスク増加に関連する [薬とサプリメントの問題]

2型糖尿病治療薬である、ジペプチジルペプチダーゼ-4インヒビター(DPP-4阻害剤)の使用は、炎症性腸疾患のリスクの全体的な75%の増加と関連していた。

552 413 person yearsのフォローアップにおいて、208件の炎症性腸疾患事象が発生(100,000人年あたり原発罹患率は37.7%;95% confidence interval 32.7 to 43.1)。DPP-4阻害剤による炎症性腸疾患のリスク増加は100,000人年あたり53.4 v 34.5で、hazard ratio 1.75(95% confidence interval 1.22 to 2.49)。

ハザード比は、使用期間が長くなるにつれて徐々に増加し、3〜4年後にピーク(hazard ratio 2.90, 1.31 to 6.41)となり、4年以上使用した後に減少した(1.45, 0.44 to 4.76)。

DPP-4阻害剤(日本ではテネリア錠:田辺三菱)は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)を分解する酵素であるDPP-4の働きを選択的に阻害する薬剤。インスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制することで血糖降下作用を発揮する。

2型糖尿病治療における、DPP-4阻害剤の使用は、10年前に導入されて以来増加している。しかし、 DPP-4は血清中に存在して多くの細胞機能に関連する。また、免疫応答に関与するものを含む様々な細胞の表面に発現しているため、その阻害によって予期しない作用が現れる可能性がある。糖尿病の専門医は、「良い薬です。」と言うが、、、。

この研究に見る、炎症性腸疾患のような自己免疫状態におけるDPP-4の影響は十分に理解されていない。

炎症性腸疾患のマウスモデルに関する研究では、DPP-4阻害剤による治療によって疾患活性が低下することが示唆されている。一方、臨床データでは、炎症性腸疾患を有する患者の血清DPP-4濃度が、健常対照者よりも低いことが報告されている(1.2.3.)

出典文献
Dipeptidyl peptidase-4 inhibitors and incidence of inflammatory bowel disease among patients with type 2 diabetes: population based cohort study
Devin Abrahami, Antonios Douros, Hui Yin, et al.,
BMJ 2018; 360 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k872 (Published 21 March 2018)

1.
Magro DO, Kotze PG, Martinez CAR, et al
Changes in serum levels of lipopolysaccharides and CD26 in patients with Crohn’s disease.
Intest Res2017;15:352-7. doi:10.5217/ir.2017.15.3.352 pmid:28670232

2.
Moran GW, O’Neill C, Padfield P, McLaughlin JT
Dipeptidyl peptidase-4 expression is reduced in Crohn’s disease. Regul Pept2012;177:40-5. doi:10.1016/j.regpep.2012.04.006 pmid:22561447

3.
Hildebrandt M, Rose M, Rüter J, et al.,
.Dipeptidyl peptidase IV (DP IV, CD26) in patients with inflammatory bowel disease. Scand J Gastroenterol2001;36:1067-72. doi:10.1080/003655201750422675 pmid:11589380

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鍼の腰椎椎間板ヘルニア治療の効果は牽引や各種鎮痛剤よりも優れていた [鍼治療を考える]

腰椎椎間板ヘルニア(LDH)治療の研究における、システマティックレビューとメタアナリシスの結果、鍼治療の効果は牽引治療や各種の消炎鎮痛剤よりも優れていた。

この研究では、LDHの治療における、鍼治療の有効性に関する証拠を評価するために、電子データベースを検索して鍼治療のランダム化比較試験(RCT)を同定し、RevMan 5.3によってメタアナリシスを行い、GRADE法を用いて証拠レベルを評価。

対象となった研究は30件で、患者は3503名。

鍼治療の総実効レベルは他の治療法よりも高く、腰椎牽引(RR=1.1, 95% CI 1.05 to 1.15; p<0.001)、イブプロフェン(RR=1.24, 95% CI 1.03 to 1.48; p=0.02)、ジクロフェナク(RR=1.44, 95% CI 1.24 to 1.67; p<0.001)、およびメロキシカム (RR=1.16, 95% CI 1.03 to 1.31; p=0.01)。

visual analogue scale (VAS) による評価では、腰椎牽引(SMD -1.33,95%CI -1.82〜-0.84; p <0.001)、ジクロフェナクナトリウム(SMD -1.36,95%CI -2.59〜-0.13; p = 0.03)。

日本整形外科学会(JOA)のスコアでも、腰椎牽引(SMD 0.96,95%CI 0.48〜1.45; p = 0.0001)よりも良好。

さらに、5件の個別試験における総実効率では、マンニトール+デキサメタゾンおよびメコバラミン、イブプロフェン+フグイグルトンカプセル、ロキソプロフェン、マンニトール+デキサメタゾンおよび huoxue zhitong 煎じ薬よりも高かった。また、2件の個別試験のVASスコアでも、イブプロフェンまたはマンニトール+デキサメタゾンと比較して鍼治療が優れていた。

私の経験でも、臨床的に、鍼治療はLDHに対して即効性が認められる。この結果から言えることは、一般的な病態認識の方に問題がある(仮説に誤りがある)。

出典文献
Acupuncture for lumbar disc herniation: a systematic review and meta-analysis.
Tang S, Mo Z, Zhang R.
Acupunct Med. 2018 Mar 1. pii: acupmed-2016-011332. doi: 10.1136/acupmed-2016-011332.

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血清ヒアルロン酸は肝障害の重症度と共に上昇する [ヒアルロン酸]

肝硬変の重症度(Child-Pughスケール)と血清ヒアルロン酸(HA)濃度との間には相関関係が認められ(R = 0.679、P = 0.000)、肝臓損傷の最も重篤な段階においてHA濃度がより高いことが示されている。
(Monika Gudowska, et al., 2016)

前回に続き、ヒアルロン酸について考えてみたい。

この研究は、20人の健康なボランティア、およびアルコール性肝硬変(AC)患者57名、非アルコール性肝硬変(NAC)30名、および中毒性肝炎(HT)22名の血清サンプルについて、スピアマンの順位相関試験によって比較している。肝硬変患者はChild-Pughスコアに従って分類。ヒアルロン酸濃度は免疫化学的方法により測定。肝線維化の非侵襲的マーカーであるAPRI、GAPRI、HAPRI、FIB-4、およびForn's indexと比較。

ANOVA rank Kruskal-Wallis検定により、肝硬変の重症度が最も高いChild-PughクラスCとクラスBの比較では平均HAレベルは約2.5倍を示し、クラスAとの比較では7倍高いことが示された。

肝線維化および肝硬変に至る共通の経路は、細胞外マトリックス(ECM)の沈着が増加することである。これは、コラーゲン、糖タンパク質およびヒアルロナンの分子および組織学的再構成による。 ヒアルロン酸(HA)は体内のあらゆる組織に存在する高分子グリコサミノグリカン(多糖類)であり、ヒアルロン酸合成酵素と呼ばれる酵素によって滑膜細胞と肝星状細胞(HSC)で合成されている。肝臓では、類洞内皮細胞によって分解されるため、肝臓細胞傷害および炎症反応によって血清HAレベルは影響され得る。血液中の半減期が短いため(2-5分)、血清HAレベルは肝線維症段階を反映する。

肝疾患におけるヒアルロン酸濃度の増加は、肝線維形成および線維化の増加に起因する可能性があることはこれまでにも知られていた(1)。ヒアルロン酸の血清レベルは、ECMの血清レベルが変化する慢性肝疾患において上昇することが見出されおり、これらには、アルコール性および非アルコール性脂肪性肝炎、B型肝炎、C型およびその他が含まれる(2.3.)。

これらの臨床状態において、HAは、単独で、またはHAを主要な構成要素とするアルゴリズムモデルにおいて使用することが期待される。

本来、肝障害後に生成されたヒアルロン酸を含む過剰なECMは、修復プロセスが完了した時点で取り除かれる。進行性の肝硬変とは、長期におよぶ修復プロセスの欠陥による、慢性的な傷害および線維化の結果であることを考慮することが重要。

肝疾患におけるヒアルロン酸、APRI、GAPRI、HAPRI、FIB-4およびForn's指標の診断有用性について。

ヒアルロン酸およびGAPRIは、アルコール性肝硬変(両者100%の特異性を有する)を除外して、最高および同等の検出能力(両者の感度98.2%)を有する。さらに、Fornの指数およびGAPRIが、非アルコール性肝硬変を有する全ての患者を正しく同定することが示された(感度100%)。非アルコール性肝硬変を除外する能力では、Forn’s index, APRI, FIB-4 and HAPRI (in order dependent on the NPV)の4つの指標は100%の特異性を示した。中毒性肝炎の検出において、 GAPRI. GAPRI, APRI, HA およびHAPRIは、最も高い感度と100%の特異性を有しており、中毒性肝炎のないすべての患者を正しく同定する。

出典文献
Hyaluronic acid concentration in liver diseases
Monika Gudowska, Ewa Gruszewska, Anatol Panasiuk, et al.,
Clin Exp Med. 2016; 16(4): 523–528.
Published online 2015 Sep 9. doi: 10.1007/s10238-015-0388-8

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血清ヒアルロン酸濃度は膝OA進行の予測因子となる [ヒアルロン酸]

血清ヒアルロン酸(sHA)は、変形性膝関節症(OA)の血清バイオマーカーであり、患者ではsHA濃度は上昇する。さらに、sHA濃度と病態の進行には正の相関が認められ、膝OA進行の有用な予測因子になる可能性があると報告されている(Eiji Sasakiら, 2015年)。

膝OAは、伝統的に臨床的および放射線学的所見に基づいて診断されている。しかし、臨床的な診断が行われる頃には関節組織の変性が進行しているため、治療によって治癒することはほぼ無いと言える。従って、早期に診断するためのバイオマーカーが求められている。

444人を登録し、ベースライン時のsHA濃度を測定して前向きに調査。膝OAの変化はKellgren-Lawrence(KL)グレードに従って分類し、関節腔狭窄(JSN)は変形性関節症コンピュータ診断支援(KOACAD)システムを用いて測定。 sHA濃度、KLグレードの進行、およびJSNとの相関は潜在的交絡因子を考慮して回帰モデルを用いて評価。

放射線学的評価では、KLグレード0または1が323人、グレード2は91人、グレード3は28人、およびグレード4は2人。 5年後のエンドポイントでは、ベースライン時にKLグレード0,1,2または3の443人の参加者中、190人(42.1%)が進行し、膝OA は14膝で発症。

より高いsHA濃度はKL等級進行に相関し(p = 0.004)、JSNの進行と正の相関を示した。SpearmanのsHA濃度とJSNの相関係数は0.404(p <0.001)。本研究によって、sHAカットオフ値は51.9ng / mlと推定され、JSNリスクは約5倍増加した(KL grades 2 or 3からのodds ratio は4.89)。

調整ロジスティック回帰分析によって、より高いsHA濃度がKLグレード2または3からの進行と相関(p = 0.004)したが、0または1からの進行とは相関しなかった(p = 0.196)。女性とKLグレード0または1のOA発症とは正に相関し、老化とより高いBMIはOAの発症および進行と相関した。

従来の縦断研究でも、ベースライン時のsHA濃度がKL等級の進行と正に相関することが示されていた(1.2.)。さらに、ベースラインのsHA濃度は正常および重度の膝OAの両方においてJSNと相関し、重症度だけでなく進行の可能性も反映しており、JSNを予測するための予後マーカーとして有用であり得る。

OAは長期的な慢性疾患であるため、5年間の観察ではsHAとOAの発生率との関係を完全に証明することは困難だが、sHA51.9ng / mlのカットオフ値がROC分析に基づくOA進行を予測できることを示す、最初の報告である。

OAは、耐荷重領域を中心とした関節軟骨の局所的損傷、関節縁における骨棘形成、軟骨下骨変化、および滑膜炎を特徴とする。滑膜炎はOAの発症時に存在し、ヒアルロン酸(HA)および炎症性サイトカインの産生をもたらす。

さらに、滑膜炎は線維芽細胞を活性化し、腫瘍壊死因子-αおよびインターロイキン-1βなどの他の炎症性サイトカインの産生を促進する。また、これらのサイトカインは、関節軟骨基質を分解する線維芽細胞によるマトリックスメタロプロテイナーゼ産生を促進する。従って、滑膜炎の存在は、膝OAの進行に寄与すると考えられている。

sHAは膝OAのバイオマーカーの中でも特に有望であり、以前のいくつかの横断的研究では、診断だけでなく、病気の持続時間、重症度、OA関連膝痛の程度を特定するためにも有用であることが報告されていた(3.4.)。sHA濃度は、OA発症時に存在する滑膜炎の程度を反映すると考えられ、プロテアーゼおよびサイトカインを産生することによって疾患の進行を促進する。したがって、sHAは進行性膝OAの予後指標となる可能性があるが、これまでは、膝OAとの関係はいくつかの縦断研究のみであった(5.6.)。

出典文献
Serum hyaluronic acid concentration predicts the progression of joint space narrowing in normal knees and established knee osteoarthritis – a five-year prospective cohort study
Eiji Sasaki, Eiichi Tsuda, Yuji Yamamoto, Shugo Maeda, Ryo Inoue, Daisuke Chiba, et al.,
Arthritis Res Ther. 2015; 17: 283.
Published online 2015 Oct 10. doi: 10.1186/s13075-015-0793-0

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高レベルHDLコレステロールは心疾患による死亡リスクを増加させる [善玉・悪玉概念の否定]

一般的に善玉と言われている、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)が原因特異的心疾患(CVD)死亡率に及ぼす影響を調べた研究(日本)によって、高レベルでは、冠動脈疾患および脳梗塞リスクの増加と有意に関連したと報告されている。

研究は、40-89歳の43,407人の参加者を対象とする、9つの日本人コホートの分析。参加者をHDL-Cレベルで5群に分類。最高レベルをHDL-C≥2.33mmol/ L以上(≧ 90mg / dL)とし、コホート層別Cox比例ハザードモデルによって、全死因死亡および原因別死亡を1.04~1.55mmol/L(40~59mg/dL)の群と比較して、各群の調整ハザード比を推定。

アテローム性CVDによる死亡リスクのハザード比は2.37(hazard ratio = 2.37, 95% confidence interval: 1.37-4.09 for total)。

12.1年の追跡期間中に、全死因死亡が4,995人、CVDによる死亡が1,280人確認されている。

Association of extremely high levels of high-density lipoprotein cholesterol with cardiovascular mortality in a pooled analysis of 9 cohort studies including 43,407 individuals: The EPOCH-JAPAN study.
Aya Hirata, Daisuke Sugiyama, Makoto Watanabe, Akiko Tamakoshi, et al.,
Journal of clinical lipidology. 2018 Feb 08; pii: S1933-2874(18)30034-5.

最近のいくつかの研究でも、CVD事象に対する高レベルのHDL-Cによる有害作用が報告されている。

実験的および観察的研究によって、HDL-Cが特定の状態においてアテローム保護機能を失い、炎症性の性質をもつことが示されている。


ホルモンの変化、特にエストラジオールの減少は、更年期移行(MT)中のHDLの質を潜在的に損なう可能性のある危険因子の蓄積に影響する。女性が閉経期に移行するにつれて、HDL-Cレベルの上昇は独立してより大きな頸動脈内膜厚(cIMT)進行と関連することが報告されており、期待される心臓保護効果を示さない可能性がある。

ncrease HDL-C Level over The Menopausal Transition is Associated with Greater Atherosclerotic Progression
Samar R. El Khoudary, Lin Wang, Ms,a Maria M. Brooks, Rebecca C. Thurston, et al.,
J Clin Lipidol. 2016 Jul-Aug; 10(4): 962–969.
Published online 2016 Apr 26. doi: 10.1016/j.jacl.2016.04.008


また、高HDL-Cレベルが、進行性腎機能障害を有するループス腎炎(Lupus nephritis、LN)患者において、末期腎疾患(ESRD)リスクの増加と関連していることも報告されている。同時に、低HDL-CレベルもLN患者の全死因死亡のリスク増加と関連していた。

Effect of low and high HDL-C levels on the prognosis of lupus nephritis patients: a prospective cohort study
Peiran Yin, Ying Zhou, Bin Li, Lingyao Hong, et al.,
Lipids Health Dis. 2017; 16: 232.
Published online 2017 Dec 6. doi: 10.1186/s12944-017-0622-3

「悪玉・善玉コレステロール」という、単純な分類は意味がないことは明らか。


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手根管症候群とLinberg-Comstock症候群 [鍼治療を考える]

手根管症候群は、各種の絞扼性神経障害の中でも最も有名であり、患者数も多い。しかし、鍼治療の臨床において判断に苦慮する症例に出会うことがしばしばある。特に、私がentrapment pointとして疑いをもっているのは手関節の近位(関節より1~1.5横指)であり、それは手根管の外である。

そもそも、手根管中の筋・腱および動脈だけではなく、その周囲にはこの領域を通過する神経に影響をおよぼす多くの解剖学的変異がある。手根管内部では、長掌筋の筋腹が手根管内部に及んでいる異常例や、正中動脈の遺残例などによる圧迫が見られる。しかし、手根管より近位の関節周囲における絞扼については、文献を探しても明確なものは見つけられない。1つの可能性として、「Linberg-Comstock症候群」ないしはその亜型が候補として考えられる。

1979年、LinburgとComstockらは、長拇指屈筋(FPL)腱と示指の深指屈筋(FDP)腱を結ぶ、肥厚した滑膜組織のfibrous bandの存在と、その病状を報告している。また、彼らは臨床診断のための試験も記載している。

この異常例では、FPLとFDPが腱様組織によって連結されているため、拇指のMCP関節とIP関節を屈曲すると示指のDIP関節も屈曲してしまう。彼らは、この試験が人口の31%で陽性であると報告し、死体では25%で異常を証明している。通常、このような異常があっても問題は起こらないが、患者では拇指の屈曲で痛みが生じ、この示指を他動的に伸ばそうとすると痛みが増悪する。

外傷後の炎症などによって発症し、遠位前腕における説明できない慢性疼痛や手根管症候群に類似した症状を示す。2本の腱に独立した動作が強要されるような動きによって、裂けるような痛みが誘発される。この2本の腱の位置関係から、このfibrous bandが正中神経を直接圧迫することは考えにくい。しかし、、、。

神経伝導速度測定やPhalen testが陽性であったことから、手根管症候群と診断されたものの手根管の範囲を触診しても明確なentrapment pointを見いだせず、治療効果も良好ではない患者が時々来院する。

私は、これらの患者の原因として、FPLとFDPを結ぶfibrous bandによって正中神経が圧迫される可能性があるものと推測している。さらに、拇指屈曲テストが陰性の者では、正中神経が浅指屈筋の下から、その筋腹の辺縁をまたいで浅層に出る部位で圧迫される可能性も推測しており、Phalen testはこの病態に関連しているのではないかと疑っている。

当院を受診したこれらの患者の中には、手関節の近位に圧通があり、手関節の屈曲と同部位の圧迫でシビレを誘発できる者が散見される。しかし、検索した文献では、Linberg-Comstock症候群の手術例の写真や模式図には正中神経が示されていない。さらに、fibrous bandによる絞扼の明確な記述も認められないため確証は無い。また、検査手段が使えない鍼灸師では検証は不可能である。しかしながら、臨床的には、診断および治療効果から手応えを感じている。今後、自説を検証できるような文献と、症例が揃った段階で改めて紹介したい。

(尚、拙著「絞扼性神経障害の鍼治療」には、この「Linberg-Comstock症候群」は記していない。今後、症例を増やすことができて自説の信憑性が高くなれば、改訂版を出す機会に書きたいと思っている。)

引用文献
Operative treatment of Linburg-Comstock syndrome
S. Badhe, J. Lynch, S. K. S. Thorpe, L. C. Bainbridge
The Bone &Jouunal
DOI: 10.1302/0301-620X.92B9.23577 Published 26 August 2010

Anatomical variations of the carpal tunnel structures
Ryan Mitchell, Amy Chesney, Shane Seal, Leslie McKnight, Achilleas Thoma,
Can J Plast Surg. 2009 Autumn; 17(3): e3–e7.

Carpal tunnel: Normal anatomy, anatomical variants and ultrasound technique
A. Presazzi, C. Bortolotto, M. Zacchino, L. Madonia, and F. Draghi
J Ultrasound. 2011 Mar; 14(1): 40–46.
Published online 2011 Feb 3. doi: 10.1016/j.jus.2011.01.006

Carpal tunnel syndrome secondary to an accessory flexor digitorum superficialis muscle belly: case report and review of the literature
Saqib Javed, Michael Woodruff
Hand (N Y). 2014 Dec; 9(4): 554–555.
Published online 2014 Mar 4. doi: 10.1007/s11552-014-9622-1

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ヒスタミンは星状細胞の神経保護効果を増加させる [医学一般の話題]

ヒスタミンと言えば、花粉症のこの季節において大敵であり、アレルギー性の皮膚疾患では抗ヒスタミン剤が欠かせない。ヒスタミンは炎症の強力なメディエーターであり、自然免疫および後天性免疫のレギュレーターである。

現在、4つのヒスタミン受容体が同定されており(H1-H4)、そのうちの3つ(H1-H3)が脳で顕著に発現する。ヒスタミンは、主要なアミノ作動性脳神経伝達物質であり、イオン恒常性、エネルギー代謝、および神経伝達物質クリアランスなど、星状細胞の活動に重要な影響を及ぼす。

この星状細胞(Astrocytesアストロサイト)は、中枢神経系(CNS)において最も豊富に存在する非神経細胞集団であるが、不活性な足場またはハウスキーピング細胞として概念化されてきた。しかし最近では、この細胞集団がCNSにおける免疫応答を能動的に調節することが示唆されている。

星状細胞の軽度の活性化は、通常、神経保護効果を発揮して神経変性の初期症状を改善する。例えば、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)およびニューロトロフィン-3(NT-3)などの神経栄養因子を放出してニューロンの生存を促進し、シナプスの恒常性を維持する。また、最近の研究では、GDNFは小膠細胞の活性化を阻害して神経炎症を緩和することが示唆されている。

しかし、星状細胞の活性化や、脳の炎症におけるヒスタミンの役割については未解明。この研究では、星状細胞がH1、H2、およびH3を発現するが、H4受容体を発現しないことを明らかにした。また、ヒスタミンは、これらの3つのヒスタミン受容体の発現を選択的にアップレギュレートして星状細胞の活性化を誘導した。さらに、H1、H2、およびH3受容体を誘発することによってTNF-αおよびIL-1βの産生を抑制し、アストロサイトによるGDNFの合成を刺激した。したがって、ヒスタミンは、GDNF合成のアップレギュレーションに伴う星状細胞TNF-αおよびIL-1β産生を抑制することで、星状細胞の神経保護効果を誘発すると考えられる。

しかし一方、星状細胞の強力な活性化は、大量のサイトカイン、ケモカイン、活性酸素種、および炎症促進性メディエーターを分泌させ、ミクログリア、ニューロン、および周囲の細胞状態に影響を与え、興奮毒性、神経変性およびアポトーシスを促進する。

本研究では、ヒスタミン(0.001,0.01,0.1,1μg/ml)が星状細胞に神経保護作用および抗炎症作用を及ぼす傾向があることを確認している。しかしながら、高濃度でのヒスタミンの影響は知られていない。マスト細胞の主要な分泌タンパク質であるトリプターゼは、低濃度では細胞内ROS産生を適度に減少させるが、星状細胞では高濃度でTNF-αおよびIL-6分泌を有意に増加させることが判明している。したがって、傷害を受けたCNSにおいて、星状細胞が多面的な役割を果たすことを示しており、CNS傷害の性質および重症度によって、異なる様々なシグナル伝達事象を通じて状況依存的に決定されると推測される。

出典文献
Histamine upregulates the expression of histamine receptors and increases the neuroprotective effect of astrocytes
Jiawen Xu, Xiang Zhang, Qingqing Qian, Yiwei Wang, Hongquan Dong, Nana Li, et al.
Journal of Neuroinflammation201815:41
https://doi.org/10.1186/s12974-018-1068-x
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体温の不明な増加は死亡率の予測因子となる [医学一般の話題]

個人のベースライン温度は測定誤差または環境要因のみに起因するものではなく、有意義な変動を示して患者要因と相関することが報告されている。

デザインは、観察コホート研究。大規模研究病院の電子記録のデータセットから、2010~12年に病院の救急部および外来を受診した患者を同定し、これらの患者の2009~14年の体温測定を含む外来受診データを収集37万4,306件)。これらの患者より、感染症の診断を受けていないか抗菌薬を処方されておらず、体温が正常範囲内と予測される患者3万5,488例(体温測定:24万3,506件)を解析の対象とした。

平均温度は36.6℃(95% range 35.7-37.3℃, 99% range 35.3-37.7℃)。

原因不明の温度変動はその後の死亡率の重要な予測因子であった。具体的には、0.149℃の増加は、年間8.4% の死亡率上昇に関連した(P=0.014)。

体温は加齢とともに低下し、年齢が10歳高くなるごとに0.021度低くなった(p<0.001)。白人男性と比較して最も体温が高かったのはアフリカ系米国人女性で、0.052度の差が認められた(p<0.001)。

疾患別では、甲状腺機能低下症は-0.013℃(P = 0.01)、癌では0.020高くなる(P <0.001)。

従来、深部体温の研究は、主に平均体温の確立に重点が置かれてきた。しかし、体温は多様な因子の影響を受けており、個々の患者のベースラインの体温には系統的な差がある可能性がある。

最も注目すべきことは、気温と死亡率の関係。 これは、ショウジョウバエおよびCaenorhabditis elegansをはじめとする一連の(恒温性)実験モデル、およびより低い体温に設計されたトランスジェニック(恒温動物)マウスにおいて、体温の低下が寿命を延ばして老化を遅延させることを示す研究結果に適合する。

個々の温度は、患者の特徴、特に代謝および肥満に関連するものと高度に相関していた。これらの違いは、明らかな熱力学的要因による可能性がある。この研究結果は、個人のベースライン温度の生物学的根拠は何かという、一連の質問を提起している。

また、この研究から得られた知見は、「ビッグデータ」が新しい医療知識を生み出すために役立つことをを示している。

出典文献
Individual differences in normal body temperature: longitudinal big data analysis of patient records
Ziad Obermeyer, Jasmeet K Samra, Sendhil Mullainathan,
BMJ 2017; 359 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.j5468 (Published 13 December 2017)
Cite this as: BMJ 2017;359:j5468

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高脂肪食の摂取は視床下部における炎症応答を活性化する [栄養の話題]

食餌誘発性肥満では、長鎖飽和脂肪は視床下部でTLR4および小胞体ストレス依存性炎症反応を引き起こし、食物摂取およびエネルギー消費を制御するニューロンに対して重度の損傷を与える。

体重の恒常性は、身体のエネルギー状態を感知するニューロンと食物摂取およびエネルギー消費を調整するエフェクターニューロンとの複雑な相互作用に依存している。

身体のエネルギー状態を感知するニューロンの多くは視床下部に存在し、全身エネルギー貯蔵の短期および長期変動を示す循環ホルモンおよび栄養素に応答するように設定されている。

この研究では、マウスに高脂肪食を与え、リアルタイムPCR、イムノブロット、免疫蛍光法、透過電子顕微鏡、および代謝測定を用いて分子および構造を調べている。

その結果、高脂肪食の摂取は他の脳室領域の変化に先立ち、正中隆起に炎症性サイトカインおよび脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現を増加させた。正中隆起β1細胞の構造的組織の早期喪失を引き起こし、BDNFの免疫中和によって、正中隆起の血液/脊髄液界面の食事誘発機能損傷と食餌誘導性視床下部炎症を悪化させて体重を増加させる。

脳由来の神経栄養因子は損傷に対して早期に防御するが、大量の食物脂肪が持続的に消費されるとその機能が失われる。

出典文献
Dietary fats promote functional and structural changes in the median eminence blood/spinal fluid interface—the protective role for BDNF
Albina F. Ramalho, Bruna Bombassaro, Nathalia R. Dragano, et. al.,
Journal of Neuroinflammation201815:10
https://doi.org/10.1186/s12974-017-1046-8

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雷雨によって急性呼吸器患者の救急搬送と院内心停止の発生率が増加した [環境問題]

雷雨喘息(thunderstorm asthma)は希な症状で、日本ではほとんど聞かれないが、花粉のようなアレルゲンと雷雨が重なるとハイリスクの人々に重症の喘息などを起こすことが海外では報告されている。

オーストラリアのビクトリア州メルボルン市周辺では、発生した雷雨(2016年11月21日)によって雷雨喘息が多発する緊急事態に遭遇した。今回の患者数は非常に多く、約1万3000人が医療機関を受診し、その内の3000人以上が呼吸器症状を訴えていた。

午後6時から深夜までの救急要請は予想の2.5倍、急性呼吸器疾患のための救急医療出勤が432%増加し、病院への緊急輸送は17%増加。院内心停止の発生率は 82%(67% ~ 99%)増加し、病院前死者は 41%(29% ~ 55%) 増加したと報告されている。

雨によって穀物が膨張して破裂し、細かい呼吸粒子となって細気管支まで侵入してアレルゲンとなり喘息発作を誘発すると考えられているが、検証されているわけではない。

気象因子として、気温、湿度、気圧などと喘息患者の症状との関連性を調べた研究は数多い。気象因子の絶対値と他の環境因子(大気汚染浮遊粒子濃度など)と喘息の相関関係を重回帰分析によって調べている文献が多いが、結果は相反する内容となっている。例えば、気温については相反する結果が得られており、他の気象因子についても明確な関連性は認められていない。一方、NOx,SO2,黒煙などの大気汚染浮遊物や,花粉などのアレルゲンが喘息の悪化と関連しているとする報告はある。イギリスでは、落雷によって、救急処置を要する喘息患者が多発したという報告が多く見られる。この要因として、雷が発生する時の気象条件が草花粉の地上付近での濃度を上げていることが一因と考えられている。

しかし。

個人的には、雷の空中放電によって生じた、窒素酸化物による気道への直接的な作用が大きいのではないかと推測するのだが、この文献ではそのような指摘は記されていない。

雷による空中放電のエネルギーで、大気中の窒素が酸素と反応して二酸化窒素などの窒素酸化物が生成され、さらに酸素によって硝酸へと酸化される。

大気中の亜硝酸による生体影響は懸念されているものの報告例は少なく、規制の対象とはなっていない。一方、二酸化窒素は、疫学調査で喘息に影響するとされ、1970年代に規制されている(但し、二酸化窒素測定法では亜硝酸も二酸化窒素として測定されるため、疫学調査による喘息影響が二酸化窒素と亜硝酸のどちらに起因するものかは不明。)

窒素は大気の約78.08%を占めるが、非常に安定しているためそのままでは利用できない。地球生態系では、不活性の窒素ガスを反応性の高い窒素化合物に変換するプロセスが2つがある。その1つは、マメ科植物の根粒菌による窒素固定で、年間1.8億トン。もう1つは、雷の放電による窒素固定で、年間0.4億トンと言われている。

発作の予防として。

喘息予防薬を服用している患者では11月21日の喘息発作の増加は21.3%であったのに対し、拡張剤のみを服用した患者では103.1%増加した。また、単独服用患者の緊急医療サービスの累積需要(incident rate ratio 9.39) は、喘息予防薬を服用している患者(incident rate ratio 1.68)の5倍以上であった。日頃の、抗炎症治療が重要となる。

出典文献
Stormy weather: a retrospective analysis of demand for emergency medical services during epidemic thunderstorm asthma
Emily Andrew, Ziad Nehme, Stephen Bernard, et .al.,
BMJ 2017; 359 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.j5636 (Published 13 December 2017)
Cite this as: BMJ 2017;359:j5636

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CD34 陽性自家造血幹細胞移植によって強皮症患者の生存率が向上した [医学一般の話題]

びまん性皮膚全身性硬化症 (強皮症) 患者を対象とする、CD34+選択自家造血幹細胞移植の効果をシクロホスファミドと比較した研究で、CD34+は全生存率とイベントフリー生存率が改善したと報告されている。

重度の強皮症は壊滅的な転帰をもたらす疾患であり、現在、有効な治療法は無い。

様々な体性幹細胞の表面マーカであるCD34は、骨髄由来の造血幹細胞、血管内皮前駆細胞、骨格筋衛星細胞などに発現しているが、CD34陽性細胞を用いた血管再生療法は、急性心筋梗塞や拡張型心筋症など、様々な心血管疾患患者を対象とした治療に使われ初めており、高い安全性と良好な初期成績が報告されている。

この研究は、重症強皮症の成人 (18 ~ 69 歳) を無作為に、CD34+選択自家造血幹細胞移植群(n=36)とシクロホスファミド群(12ヶ月投与n=39)の2群に分けて比較したもの。

主要エンドポイントは、疾患特徴の階層に基づくグローバルランクの複合スコアによって評価。その内容は、54ヶ月における死亡、イベントフリー生存 (呼吸、腎臓、または心不全のない生存)、強制肺活量、健康評価のアンケートによる障害指標スコア、および変更された Rodnan スキンスコア。

54 ヶ月のイベントフリー生存率は、移植群79%、シクロフォスファミド群50%(P=0.02)。

72ヶ月におけるKaplan–Meierでは、イベントフリー生存率は74% vs 47%、全体の生存率も86% vs 51%と移植を支持(P=0.03 and 0.02, respectively)。

移植群の参加者は、54ヶ月までに9%が抗リウマチ薬(DMARDs)を開始し、シクロホスファミド群では44%であった(P=0.001)。

治療関連死亡率は、移植群は54ヶ月で 3%、72カ月では6%であったのに対し、シクロホスファミド群は 0% であった。

CD34+選択自家造血幹細胞移植によって、重症強皮症患者のイベントフリー生存率が6年間で74%であったことは朗報と言える。

出典文献
Myeloablative Autologous Stem-Cell Transplantation for Severe Scleroderma
Keith M. Sullivan, Ellen A. Goldmuntz, Lynette Keyes-Elstein., et. al.,
N Engl J Med 2018; 378:35-47January 4, 2018DOI: 10.1056/NEJMoa1703327

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基準値以下でも微小粒子状物質とオゾン暴露の増加で死亡率は上昇する [環境問題]

大気汚染への短期的な暴露と死亡率の関係について調査した研究の結果、基準値以下であっても、微小粒子状物質とオゾン暴露の増加によって死亡率が上昇した。

PM2.5とオゾンに対する短期曝露(死亡の同じ日と1日前の日の平均曝露の平均)と2年間の死亡率との間の関連性を、ケース・クロスオーバー設計と条件付ロジスティック回帰汚染物質モデルによって推定。

短期間における、PM2.5 の10 μg/m3増加(adjusted by ozone)による相対リスクの増加は 1.05% (95% CI, 0.95%-1.15%)、温暖シーズンのオゾン濃度の10ppbの増加(adjusted by PM2.5)による1日当たりの死亡率増加は0.51% (95% CI, 0.41%-0.61%)。

1日の死亡率の絶対リスクは、1日、100万人当たり1.42(95%CI、1.29-1.56)および0.66(95%CI、0.53-0.78)であった。尚、この調査では、暴露 - 反応関係には閾値は認められなかった。

しかしながら、このような研究は目新しいものではない(私が以前に検索した文献だけでも400件近く存在する)。

以前に、私が、36件の同様の研究報告を統合して解析した結果では、10ppbの上昇24時間で死亡率は約1%増加し、呼吸器疾患では3%増加した。糖尿病では、10ppb8時間で8.28%増加したとする報告もあった。これらの数値を見ても実感が沸かないかも知れないが、インフルエンザの致死率がわずか 0.045%であること(WHO報告)と比較すると、影響の大きさが理解できるはずである。

* 因みに、1ppb とは、1000m×1000m×1000mの容積中に1辺が1cmの物質が1個存在することを意味している。

日本における環境基準値は0.06ppmで、作業環境におけるオゾン濃度基準では0.1pmを許容濃度としている。これは、1日8時間、週40時間程度の労働時間中に暴露する濃度の算術平均値がこれ以下であれば健康被害は起こらないとする考である。しかし、認識の誤りは明確である。知らぬ間に、作業環境の中で(例えば、電気溶接など)呼吸器や心臓血管にダメージを受けているのである(急性死するような濃度では、その臭いによって感知できる。)。

酸素分子が3つ結合したオゾンは強力な酸化剤であるため、地上レベルに存在するオゾンは大気汚染物質である。その酸化力と、反応後は無害なことから殺菌・消毒目的に使用されているが、人体に対しては有害である。室内の殺菌・浄化をうたい文句にしたオゾン発生器(日本では基準や規制が無い)は危険であり、健康被害の報告も散見されている。しかし、ほとんどの人は、自身の不調の原因として認識できていないのが現実である。

出典文献
Association of Short-term Exposure to Air Pollution With Mortality in Older Adults
Qian Di, Lingzhen Dai, Yun Wang, et al.,
JAMA. 2017;318(24):2446-2456. doi:10.1001/jama.2017.17923

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