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母体の肥満重症度は先天性奇形リスクに関連する [医学一般の話題]

乳児約100万人(1,243,957)を対象にした、スウェーデンにおけるコホート研究で、母体の肥満重症度(BMI)の増加とともに、すべての主要な先天性奇形と臓器特異的奇形のリスクが増加した。

妊娠初期における母胎の正常体重をBMI 18.5 to <25として、過体重BMI 25 to <30, 肥満クラスI :BMI 30 to <35), II :35 to <40, III:≥40 , 正常以下BMI <18.5を比較

合計 43,550名(3.5%)が任意の主要な先天性奇形を有し、最も一般的なサブグループは先天性心欠陥(n = 20, 074; 1.6%)。

過体重:3.5% ;1.05 (95% confidence interval 1.02 to 1.07)
肥満クラスI:3.8% ;1.12 (1.08 to 1.15)
肥満クラスII:4.2% ;1.23 (1.17 to 1.30)
肥満クラスIII:4.7% ;1.37 (1.26 to 1.49)

先天性心奇形のリスク
過体重:1.05 (95% confidence interval 1.01 to 1.08)
肥満クラスⅠ:1.15 (1.09 to 1.20)
肥満クラスⅡ:1.26 (1.16 to 1.37)
肥満クラスⅢ:1.44 (1.27 to 1.63)

肥満重症度に関連する臓器特異的リスク比の増加が最大となったのは、神経系であった。

過体重:1.15 (95% confidence interval 1.00 to 1.31)
肥満クラスⅠ:1.44 (1.20 to 1.73)
肥満クラスⅡ:1.65 (1.23 to 2.21)
肥満クラスⅢ:1.88 (1.20 to 2.94)

肥満クラスⅢでは、神経系の奇形が88%増加した。

性器や消化器系の奇形も、肥満の母親の子供で増加した。

母体の肥満重症度によって、子供の主要な先天性奇形のリスクが増加する。これは、妊娠前においてBMIが正常範囲であることの重要性を意味している。妊娠初期の8週間以内に器官が発生するため、妊娠後の体重減少の予防効果は期待できない。従って、若い女性が受胎前に正常な体重を得ることを奨励するべきである、と述べられている。

出典文献
Risk of major congenital malformations in relation to maternal overweight and obesity severity: cohort study of 1.2 million singletons
Martina Persson, Eduardo Villamor, Björn Pasternak, et. al.,
BMJ 2017; 357 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.j2563 (Published 14 June 2017)
Cite this as: BMJ 2017;357:j2563

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新鮮な農産物が耐性菌の感染源になる可能性 [医学一般の話題]

アメリカでは、年間に、約200万人が抗生物質耐性菌 (antibiotic resistant bacteria ;ARB)に感染しており、そのコストは350億ドル以上におよんでいる。現在、アメリカの農業では、生産中に国内における抗生物質使用量の約80%を使用している。新鮮な農産物は非加熱によって消費されるため殺菌の行程を欠いている。したがって、耐性菌による感染リスクが懸念される。

この研究は、消費者がこれらの食品を消費するときに暴露されるARBの量を推定し、その負荷を定量化することを目的としている。

乳製品のARBは18.3 CFU/gと低く、新鮮な農産物では、オーガニックで1.97 x 10の5乗 CFU/g、従来品は1.48 x 10の6乗 CFU/gで、乳製品の1000~10000倍高い。

また、乳製品は、耐性菌CHL (Acinetobacter)が0 cfu/gで陰性、CEF (Bacillus)2.78 x 10の2乗 cfu/gが最高であった。但し、1つのヨーグルトサンプルで、6.6 x 10の6乗CFU/g のコリスチン耐性菌が検出された。

オーガニックまたは従来の生鮮農産物や乳製品は、サンフェルナンドバレーを通じて地元の食料品店から購入。大腸菌と黄色ブドウ球菌を抑制するために、最小限の抗生物質濃度を定義。

抵抗性を調べた抗生物質は、シプロフロキサシン(ciprofloxacin;CIP), テトラサイクリ(tetracycline ;TET), エリスロマイシン(erythromycin;ERY), クロラムフェニコール(chloramphenicol;CHL),ゲンタマイシン(gentamicin;GEN), アンピシリン(ampicillin;AMP), セフォタキシム(cefotaxime;CEF), コリスチン(colistin;COL)の8種類。

CFU:Colony forming unit

出典文献
Levels of antibiotic-resistant bacteria in ready-to-eat foods.
B. Sanchez, T. Bayangos, K. Rocha, A. Noguera, E. Luna, et al.,
ASM Microbe 2017; Abstract 67.

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温暖化を目の敵にする風潮の愚 [らくがき]

トランプ米大統領がパリ協定からの離脱を発表したことについて、山本公一・環境相は2日、閣議後の記者会見で「環境大臣として山本公一個人として大変に失望」、「人類の英知に背を向けた」などと述べた。トランプ大統領の考に興味は無いが、「人類の英知」とは何か。

大学院のゼミで、温暖化対策関連の事業を営む企業に勤めていた学生が、その研究目的を発表した際、「温暖化によって生態系が破壊される、、、。」と発言した。私は、温暖化で生態系が破壊されるなど、あり得ないことだと否定した。温暖化を政治問題化した政治家と、金儲けのネタにする企業にはおいしい話題かもしれないが。温暖な期間は生物にとっては極めて生きやすい時代なのだ。

現在よりも平均気温が10℃ほど高かったペルム紀は、世界中で大森林が繁茂して巨大な昆虫類が闊歩していた、生産性と多様性において豊かな時代であった。また、縄文時代が栄えていたのも現在よりも気温が3℃ほど高かったためであり、気温の低下によって滅びたのである。

300万年位前から、氷期と温暖期がほぼ10万年のサイクルで繰り返されるようになったが、温暖な時期はその中の1割に過ぎない。人類は、現代のような氷期と氷期に挟まれた例外的に温暖な運の良い時代に生きているのである。

最近の数千年では、夏の日射量は極小付近まで低下しているにもかかわらず温度は上昇している。この8000年間の乖離の原因を水田による農耕によるとする説もあるが、正確には不明である。理論上、とっくに氷期に入っているはずなのに、人為的に排出された温室効果ガスによって氷期の到来が先延ばしされているとすれば、それは人類にとっては喜ぶべきことと言える。

通常、温暖期では、気候は安定して暖かいが極めて短期間である。一方、寒冷期においては、気温は不安定で温暖な時期もある。しかし、その期間は長く、過去7回の氷期を見ると次第にその期間は長くなっており、次は10万年ほど続く可能性もある。全球凍結となる大氷河期ともなれば、人類は半数も生き残れないであろう。現在のように、寒暖の差が激しいのは氷期の特徴であり、すでに氷期に入りつつあるように思われる。一度始まれば、わずか数年で氷期となる。今、現在の温暖な気候にむしろ感謝すべきなのだ。

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赤身肉による死亡リスク増加はヘム鉄・硝酸/亜硝酸塩が関与する [栄養の話題]

赤身肉の摂取による健康上のリスク増加は、ヘム鉄・硝酸/亜硝酸塩が関与している。一方、家禽や魚などの白身肉はリスクを低減する。

アメリカの6つの州と2大都市圏における、人口ベースのコホート研究(“dietary data of the NIH-AARP Diet and Health Study食餌のデータと健康調査” )
(しつこいようだが、「diet;ダイエット」とは食餌のことで、痩せるための行為ではない。)

参加者はAARPメンバーの536, 969名(ベースラインで50-71歳)。

赤身肉 (牛肉、子羊、豚肉) および白身肉 (家禽・魚)、ヘム鉄、硝酸塩/亜硝酸塩の全ての摂取量をアンケートに基づいて処理し、カロリー調整摂取量の最低5番目を使用してcox 比例ハザード回帰モデルで推計。主要評価は、フォローアップ期間の全原因死亡率の測定。

赤身肉の最高摂取量対最低5番目とのハザード比1.26(95% confidence interval 1.23 to 1.29)。死亡率の増加は、アルツハイマー病による死亡を除く、9種類の原因による死亡率で観察されたが、慢性肝疾患は特に高かった (hazard ratio 2.30, 1.78 to 2.99)。

白身肉の摂取量の最も高いカテゴリーの人々は最低レベルと比較して、全原因死亡率リスクが25% 減少し、慢性肝疾患ではハザード比0.32(hazard ratio 0.32, 0.24 to 0.42)で、68%減少した。この傾向は未処理の白身肉で特に強かった。

全体的な死亡率リスクは、ヘム鉄の高摂取量で増加し (最高対最低第五のハザード比 1.15;1.13 to 1.17)、原因では、癌およびその他の未知の原因10%、腎臓病34%。

加工肉の硝酸摂取量に関連するリスク増加は、糖尿病のハザード比1.39(hazard ratio 1.39, 1.24 to 1.55)、呼吸器疾患 1.38(1.29 to 1.48)、腎臓病 1.35(1.16 to 1.58)。

加工赤身肉によるヘム鉄と硝酸/亜硝酸塩の摂取量は、ほぼ全ての原因による(アルツハイマー病による死亡を除く)死亡率と独立した関連付けが示唆された。

従来の研究でも、加工肉は、特に冠状動脈性心臓病、脳卒中、および糖尿病のリスクを高めることが示されている。これは、ナトリウム、硝酸塩、および処理された肉の亜硝酸塩の高い含有量に起因している。

ヘム鉄と硝酸/亜硝酸はプロオキシダントであり、酸化ストレスバイオマーカーと脂質過酸化を誘発するため、臓器の酸化的損傷や炎症を促進し、糖尿病、心血管疾患、および癌などに関与する。

また、硝酸塩/亜硝酸塩の代謝はn-ニトロソ化合物の形成に密接に関連している。n-ニトロソ化合物は、発癌、冠状動脈性心臓病やインスリン抵抗性のリスクを高めることが示されている, n-nitrosohemaoglobin と n-nitrosomyoglobin は、ヘモグロビンとミオグロビンと亜硝酸塩の反応の結果として形成される、また、一酸化窒素は、これらのヘムタンパク質と直接反応して n-ニトロソ化合物を形成する。

因みに、野菜には亜硝酸および硝酸塩が多く含まれており、口腔内のバクテリアや胃酸と還元酵素が反応して亜硝酸になり、肉や魚の第2級アミン(ジメチルアミン)と反応して強力な発癌物質であるニトロソアミン類に変化する。このジメチルアミンは加熱によって含有量が増加し、焼きサンマでは17倍にも増加する。ビタミンCはこの反応を抑制するため新鮮な野菜では安全であるが、古ずけの漬け物と焼き魚などを組み合わせて食べると強力な発癌物質が作られることになる。昔、東北地方で胃癌が多かったのは、漬け物の塩分が原因ではなく、ニトロソアミンであると言われている。 

米国農務省による分類では、ミオグロビンのレベルが 65% 以上含まれるものを赤身肉としている。

出典文献
Mortality from different causes associated with meat, heme iron, nitrates, and nitrites in the NIH-AARP Diet and Health Study: population based cohort study
Arash Etemadi, Rashmi Sinha, Mary H Ward, et al.,
BMJ 2017; 357 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.j1957 (Published 09 May 2017)
Cite this as: BMJ 2017;357:j1957

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めまい患者の頚椎椎間板にはルフィニ小体が豊富に存在する [医学一般の話題]

椎間板サンプルの調査によって、めまい患者の頚椎には他の椎間板に比べてルフィニ小体が豊富に分布しており、めまいの病態に重要な役割を示す可能性があると報告されている。

54患者から61サンプルと、コントロールとして、8死体ドナーから40サンプルを採取。
めまいの原因として「頚性めまい」もあるが、要約のみ読んでいるため、めまいの詳しい原因や、コントロールの生前のめまいの既往などは不明。

以前の限られた研究では、正常な頚椎椎間板は固有感覚機能を有していると考えられている。いくつかの臨床研究によって、頚椎症の患者では姿勢制御と主観的なバランス障害が示唆されていた。

また、めまい患者の3つのサンプルにおいてゴルジ小体が見られたが、パチニ小体は全てのサンプルで発見されなかった。

ルフィニ小体(Ruffini corpuscle)は遅順応性機械受容器で、皮膚にかかる圧を感知して指の定位・運動の制御や運動感覚を受容する。持続的な圧力だけでなく、角度などの機械的変化を感知し、遅順応性の温度受容器としても働く。

出典文献
Mechanoreceptors in Diseased Cervical Intervertebral Disc and Vertigo.
Yang, Liang, Yang, Cheng, Pang, Xiaodong, Li, Duanming, et al.,
Spine: 15 April 2017 - Volume 42 - Issue 8 - p 540–546 doi: 10.1097/BRS.0000000000001801

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マンガンの暴露がパーキンソン病にリンクする [環境問題]

パーキンソン病には遺伝性の変異が約8%関与するが、複数の環境要因も関与しており、それらの中でも、殺虫剤、産業煙およびガソリン添加物中のマンガンが明確に関連している。

マンガンは必須微量元素の1つで、スーパーオキシドジスムターゼ、ピルビン酸カルボキシラーゼ、アルギナーゼ、グルタミン合成酵素などの構成分子であり、これらの酵素において重要な機能をもっている。しかし、金属元素の血中濃度の許容範囲は極めて狭いため、過剰な暴露によって、マンガン神経毒によるマンガン誘発性神経障害などを引き起こす。

マンガンの吸入による鼻および肺の炎症、腎臓や神経の機能不全(1.2.3.)、および飲料水中の高レベル(> 300 µ g/L)が子供の知的機能の低下に関連付けられている(4.)。

職業性の暴露では、採鉱、鋼鉄製造業および溶接がパーキンソン症候群の高リスクに関連する。他の産業や農業用途では、マンネブまたはマンコゼブのような殺菌剤が農業労働者の環境暴露の危険を高める (5.)。有機化合物では、メチルシクロペンタジエニル、トリカルボニルルテニウム、ガソリン中のオクタンブースターまたはアンチノック剤にマンガンが含まれており、有害な健康影響を引き起こすことが示されている (6.7.)。

マイクログリアの持続的な炎症活性化は、多発性硬化症、脳卒中、アルツハイマー病 (AD)、およびパーキンソン病 (PD)を含む多くの神経変性疾患の進行に関与している(8.9.)。PDの実験モデルでは、マンガンによるマイクログリアのアクティブな表現型への遷移を同定している(10.)。

グリア細胞に神経炎症性障害を起こすためのシグナリング経路があることが示唆され、マンガンは、アストロサイトの活性化のために不可欠であるグリアの炎症性表現型の強力な誘発剤であることが明らかになった。

一次マウスのマイクログリアにおいて、マンガンが100μM以下の容量で、Nos2, Tnf, Il-6, Il-1β, およびcaspase 1.を含むマイクログリアの炎症性遺伝子の発現を誘導するのに十分であった。

さらに、生きた細胞のCFMEA によって測定されたマイクログリアに直接取りこ込まれたマンガン、およびマイクログリアに残留したマンガンのICP-MSによる分析が報告されている。アストロサイトの研究では、両方のトランスフェリン受容体と二価金属トランスポーター-1は、これらの細胞のマンガン取り込みのための推定受容体として作用し(11.12.)し、マイクログリアは、これらの輸送タンパク質の両方を発現することが知られている (13.)。

マイクログリアの NF-κBシグナリングは、アストロサイトの活性化を増幅するケモカインを規制することにより、マンガン毒性における炎症反応に不可欠な役割を果たしている。

マンガンの急性および慢性暴露による神経毒は、マイクログリアによる神経炎症の活性化によって、パーキンソン病などの神経障害を促進すると考えられている。

自動車の排気ガスでは、ガソリン添加剤として使用されているメチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(MMT)への曝露が問題である。ガソリン中の鉛の有害性は良く知られているが、マンガンの毒性はあまり議論されていない。今後は、主要な幹線道路沿いの住民を対象としたコホート研究が必要と思われる。

また、マンガン鋼の溶接機によって、労働者がパーキンソン病に似た症状を呈することや、農業従事者の、農薬中のマンガンへの暴露による影響も検証する必要がある。

出典文献
Microglia amplify inflammatory activation of astrocytes in manganese neurotoxicity
Kelly S. Kirkley, Katriana A. Popichak, Maryam F. Afzali, Marie E. Legare , Ronald B.
Journal of Neuroinflammation201714:99 DOI: 10.1186/s12974-017-0871-0

Extracellular Dopamine Potentiates Mn-Induced Oxidative Stress, Lifespan Reduction, and Dopaminergic Neurodegeneration in a BLI-3–Dependent Manner in Caenorhabditis elegans
Alexandre Benedetto,
Catherine Au, Daiana Silva Avila, Dejan Milatovic, Michael Aschner
PLOS Published: August 26, 2010 • https://doi.org/10.1371/journal.pgen.1001084

引用文献
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ニコチンアミドリボシドは雌ラットにおける抗癌剤誘発末梢神経障害を緩和する [医学一般の話題]

ビタミンB3(ナイアシン)とニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(nicotinamide adenine dinucleotide ;NAD+)の前駆体であるニコチンアミドリボシド(NR)が、げっ歯類モデルにおいて、抗癌剤のパクリタキセルによる誘発末梢神経障害を減少させたと報告。

パクリタキセルは非小細胞肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮体癌、および胃癌などに使用されている抗癌剤。その作用機序は、微小管構造蛋白であるチューブリンの重合を促進して脱重合を抑制し、細胞分裂時の紡錘体の形成を阻害して細胞周期をG2/M期で停止させると言われている。パクリタキセルの末梢神経障害は、主に、微小管への作用による軸索障害が原因と考えられている。

モデルの“Sprague-Dawleyラット”に対し、 パクリタキセル6.6 mg/kgの3静脈注射を5日間実施。NRを、開始7日前より注射後24日間継続して毎日200mg/kgを経口投与した。この用量によって NAD+の血中濃度が50%増加し、パクリタキセルの効果を妨げずに触覚過敏症を減少させた。 経口アセチル-L-カルニチン(acetyl-L-carnitine;ALCAR)100mg/kgの前処置では、パクリタキセル誘発触覚過敏症または回避行動は防止できず、ALCAR自体が触覚過敏を作り出した。

これまでの研究で、ニコチンアミドは、酵素阻害剤と併用すると生体内の腫瘍増殖を抑制する。また、肝臓と乳癌の進行を抑制する。NAD+前駆体ニコチンアミドの毎日1gの経口投与は、新しい非メラノーマ皮膚癌の発生率を 23% 減少させた。

抗癌剤による末梢神経障害は現時点で発現機序が不明であり、臨床試験もエビデンスが不十分で有効な治療法は確立されていない。ビタミンB3の前駆体が有効であれば、患者にとって朗報となる。
 
出典文献
Nicotinamide riboside, a form of vitamin B3 and NAD+ precursor, relieves the nociceptive and aversive dimensions of paclitaxel-induced peripheral neuropathy in female rats.
Hamity, Marta, White, Stephanie, Walder, Roxanne, et al.,
Pain: May 2017 - Volume 158 - Issue 5 - p 962–972 doi: 10.1097/j.pain.0000000000000862

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心臓手術患者の術後高感度トロポニンレベルは30日間の死亡率に関連する [医学一般の話題]

心臓手術を受けた患者の、術後高感度トロポニンT (hsTnT)のピーク値は30日間の死亡率と有意に関連していたと報告されている。

心臓手術を受けて、術後 hsTnT 測定を行った者のコホート研究。参加者は13カ国23センターにおける45歳以上の患者、21, 842名(平均年齢 63.1歳 (SD,10.7), 女性49.1%)。2008年10月に開始し、2013年12月までフォローアップ。患者は手術後6〜12時間と3日間 hsTnTを 測定。40.4% は術前にもhsTnT 測定。

手術後30日以内に266名が死亡(1.2% ; 95% CI ; 1.1% - 1.4%)。

・基準群 (ピーク hsTnT の 5 ng/l) と比較した術後ピーク値別30日間の死亡率

20 ~ 65 ng/l    ;3.0% (123/4049; 95% CI, 2.6%-3.6%)
65 ~ 1000 ng/l 未満 ;9.1% (102/1118; 95% CI, 7.6%-11.0%)
1000 ng/l 以上   ;29.6% (16/54; 95% CI, 19.1%-42.8%)

corresponding adjusted HRsは、それぞれ23.63 (95% CI, 10.32-54.09), 70.34 (95% CI, 30.60-161.71), 227.01 (95% CI, 87.35-589.92)。

hsTnTの5 ng/Lと最高値を比較した、30日死亡リスクの絶対増加の調整ハザード比(adjusted HR)は4.69(95% CI, 3.52-6.25)で、約4.7倍。

術後、虚血性機能を伴わないhsTnTの20 から65 ng/Lの5 ng/L以上の絶対変化、または65 ng/l以上における30日間の死亡率の調整HRは3.20(adjusted HR, 3.20; 95% CI, 2.37-4.32)。
3904名(17.9%; 95% CI, 17.4%-18.4%)の患者が心臓手術後の心筋損傷(MINS)、3633名(93.1%; 95% CI, 92.2%-93.8%)が虚血性の徴候を示さなかった。

出典文献
Association of Postoperative High-Sensitivity Troponin Levels With Myocardial Injury and 30-Day Mortality Among Patients Undergoing Noncardiac Surgery.
Writing Committee for the VISION Study Investigators
JAMA. 2017;317(16):1642-1651. doi:10.1001/jama.2017.4360

トロポニン複合体(トロポニンT,C,I)は、骨格筋と心筋の横紋筋におけるアクチンとミオシンの間でカルシウムを介した筋収縮の調節を行っている。心筋トロポニンT,Iの90%以上は心筋細胞の構造フィラメント上に存在し、心筋障害に際して微量に血中へ流出する。

血中心筋トロポニンの測定系は、骨格筋と交差しない心筋特異的な抗体を用いており、2000年度の欧州心臓病学会/米国心臓病学会(ESC/ACC)において、急性心筋梗塞の診断基準に記載された。

近年開発された高感度トロポニン測定系は低値部分までも正確で、測定値が高いほど予後不良。従来は正常値とされていた数値でも、10年後の予後予測指標であることが判明し、トロポニン測定系は、心筋梗塞から心不全末期までの段階についてのバイオマーカーである可能性が示唆されている。

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膝OAにおけるリンパ管の変化 [医学一般の話題]

変形性関節症 (OA)モデルマウスにおいて、軽度ではリンパ管数と毛細血管の数は有意に増加するが、重度では成熟したリンパ管の数が著しく減少した。OA患者においても、リンパクリアランスの減少と、関節の毛細血管と成熟リンパ管の数が有意に減少していると報告されている(少々古いが;Arthritis Rheumatol. 2014)。

リンパ血管は広く体内組織に分布しており、アンカーフィラメントを介して周囲の間質マトリックスに連続している。余分な血漿は、免疫細胞と一緒にリンパ毛細血管の透過性リンパ内皮細胞の接合部を介して濾過されて間質性空間に排出される。

膝関節への分布は十分には検討されておらず、関節液の恒常性におけるリンパ系の正確な役割は明確ではない。

本研究のOAモデルは、軟骨形質転換成長因子β (tgf β) 型 ii 受容体の遺伝子をノックアウトした、半月靱帯を傷害させたマウスを使用。軟骨の損失と関節破壊の重症度を組織学的に評価。キャピラリーおよび成熟リンパ管を同定し、二重蛍光染色と全体のスライド式デジタルイメージングシステムを使用して分析。近赤外リンパ管像を用いて膝関節のリンパ排液を検討。また、人工膝関節または人工股関節置換術で得られた患者関節標本を評価してマウス所見の妥当性を検証。

滑液は滑膜によって生成されて関節軟骨を養う。OAでは、コラゲナーゼ(collagenases)、マトリックスメタロプロテアーゼ、サイトカイン、ケモカインなどの異化因子が関節中の種々の細胞型によって生成され、滑液中に放出される。これらの成分の有害な影響から、滑液または関節洗浄標本中の濃度はOAの重症度のバイオマーカーとして使用されている。しかし、これらの異化因子がリンパ管を介して関節からクリアされる機構は未解明。

リンパ管は、単に組織液を運搬するのみならず、抗原や免疫細胞を運搬して局所的な炎症や免疫力を調整しており、その機能不全は炎症性疾患や癌などの進行に影響する。しかし、リンパ管の構造や機能は十分には理解されていない。

一方、COPDの肺では、重症度と肺胞リンパ管の増加と、主要末梢肺コンパートメントにおけるリンパ管の表現型の変化が関連している。このように、疾患によってリンパ管の変化に違いが認められる。

本研究では、リンパ管の形成と排水機能がOA関節で障害されていることを示し、病因と治療においてリンパ系のさらなる調査の必要性を提唱している。

出典文献
Distribution and Alteration of Lymphatic Vessels in Knee Joints of Normal and Osteoarthritic Mice.
Jixiang Shi, Qianqian Liang, Michael Zuscik, et al.,
Arthritis Rheumatol. 2014 Mar; 66(3): 657–666. doi: 10.1002/art.38278

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変形性腰椎脊柱管狭窄症とSchmorl結節の関連性 [腰痛関連]

変形性腰椎脊柱管狭窄症(Degenerative lumbar spinal stenosis;DLSS)は、3関節複合体変性症(椎間板および上下のファセット関節)に関連付けられる高齢者の一般的な健康問題。シュモール結節(Schmorl’s nodes;SNs)は垂直ヘルニアであり、エンドプレートの弱体化部分を介して椎間板変性に関連すると考えられている。

この調査では、合計345個体サンプル(control および DLSS)中、202 個体 (58.5%)の腰椎骨 (L1 to S1)に少なくとも1つ以上のSNs が認められた。DLSS 群 (n = 165)では、122個体(73.9%)がSNsを呈し、対照群(n=180)では80個体(44.4%)であった(p < 0.001)。

この研究の結論では、「SNs は DLSS に強く関連している。」と、述べている。しかし、この関連性は椎骨への高負荷に起因する共通性によるものであるとも考えられる。

SNsの存在と腰痛との間の直接的な関係が示唆されており、腰椎椎間板疾患との相関関係が報告されている(1.2.3.)。また、SNsと椎間板変性の重症度の相関性も示唆されている(3)。しかし、SNsは一般的に観察されており、通常は無症状(4.5.)。

SNsの病因は依然として不明であり、その病態によって、腰椎セグメントの不安定性を引き起こす可能性は指摘されているが、明確ではない。

出典文献
In the quest for degenerative lumbar spinal stenosis etiology: the Schmorl’s nodes model
Janan Abbas, Viviane Slon, Dan Stein, Natan Peled, Israel Hershkovitz, Kamal Hamoud.
BMC Musculoskeletal Disorders BMC series – open, inclusive and trusted 201718:164
DOI: 10.1186/s12891-017-1512-6

参考文献
(1)Wang Y, Videman T, Battié MC. ISSLS prize winner: Lumbar vertebral endplate lesions: associations with disc degeneration and back pain history. Spine. 2012;37:1490–6.

(2)Takahashi K, Miyazaki T, Ohnari H, et al. Schmorl’s nodes and low-back pain. Analysis of magnetic resonance imaging findings in symptomatic and asymptomatic individuals. Eur Spine J. 1995;4:56–9.

(3)Mok FP, Samartzis D, Karppinen J, Luk KD, et al. ISSLS prize winner: prevalence, determinants, and association of Schmorl nodes of the lumbar spine with disc degeneration: a population-based study of 2449 individuals. Spine. 2010;35:1944–52.

(4)Hamanishi C, Kawabata T, Yosii T, Tanaka S. Schmorl’s nodes on magnetic resonance imaging. Their incidence and clinical relevance. Spine. 1994;19:450–3.

(5)Pfirrmann CW, Resnick D. Schmorl nodes of the thoracic and lumbar spine: radiographic-pathologic study of prevalence, characterization, and correlation with degenerative changes of 1,650 spinal levels in 100 cadavers. Radiology. 2001;219:368–74.

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喘息患者の吸入ステロイド使用による肺炎リスクの増加 [薬品の問題]

喘息患者における吸入コルチステロイド(inhaled corticosteroid ;ICS)の使用は、肺炎による入院リスクを83%増加させ、1日500 μg 以上の高用量では96%増加した。

対象者は、12から25歳(平均年齢24.2歳、男性34.9%)の喘息患者152,412名。1990から2007までの期間フォロー(平均4.8年)。

最近の ICS使用者と非使用者とを比較した(於ICU)肺炎のリスク比(RR)は1.83(95% CI 1.57-2.14)、超過リスクは2.03/1,000/年(RD 1.44; 95% CI 1.03-1.85)。

低用量使用RR 1.60(95% CI 1.06-2.45)、中等量RR 1.53; 95% CI 1.12-2.08)、高用量RR 1.96; 95% CI 1.64-2.34)。

また、ブデソニド(budesonide)では、RR 2.67(95% CI 2.05-3.49)で約2.7倍、フルチカゾン(fluticasone)は、RR 1.93(95% CI 1.58-2.36)で約2倍。

引用文献
Pneumonia risk in asthma patients using inhaled corticosteroids: a quasi-cohort study.
Qian CJ, et al.
Br J Clin Pharm 2017, April 20; DOI: 10.1111/bcp.13295.

ブデソニド(Budesonide商品名パルミコート)は糖質コルチコイドであり、気管支喘息にステロイドとして用いられる。ステロイド吸入薬の中では最も安全性が高く、妊婦にも用いることができる。
フルチカゾン (fluticasone) は、プロピオン酸フルチカゾンを成分とする吸入剤(商品名フルタイド)であり、気管支拡張剤サルメテロールキシナホ酸塩との配合剤(商品名アドエア)などが販売されている。フルチカゾンは、日本アレルギー学会による喘息予防・管理ガイドライン (2006) では、日常管理薬としてステップ2(軽症持続型喘息)以上の第一選択薬として推奨されている。

喘息の病態は複雑であり、肺炎のリスクが高くても、ステロイドを全く使用しないという訳にはいかない。一方、気管支拡張剤は継続して使用した場合にはさらに有害となる。

尚、吸入コルチコステロイドの使用は、COPD患者の肺炎による入院のリスク因子でもある。

例えば、「Chest」の検索では。
COPD患者で、ICSsユーザー103,386名のコホートにおける調査では、4.9年のフォロー中に14,020 名が重度の肺炎を発症した (incidence rate, 2.8/100/y)。しかし、ICSsの中止によって、37% 減少した(rate ratio [RR], 0.63; 95% CI, 0.60-0.66)。

リスク軽減は、最初の月が20%、中止後4カ月目では50%減少した。

リスク低減は、フルチカゾンの中止で特に大きく、RR 0.58(95% ci, 0.54-0.61) 42%減少し 、ブデソニドでは、RR 0.87(95% ci, 0.78-0.97)。

Discontinuation of Inhaled Corticosteroids in COPD and the Risk Reduction of Pneumonia
Samy Suissa, PhD; Janie Coulombe, MSc; Pierre Ernst, MD
Chest. 2015;148(5):1177-1183. doi:10.1378/chest.15-0627

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抗IL-1薬(Anakinra)は慢性疲労症候群には効果無し [薬品の問題]

慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome ;CFS)の分子メカニズムとして、免疫サイトカインの亢進と炎症性サイトカインによる炎症が関与している。

CFSに対する、炎症性サイトカインのインターロイキン 1 (IL-1)を抑制する、Anakinra(アナキンラ:商品名Kineret)の効果はプラシーボと同等だった。

研究デザインは、無作為化プラシーボ対照試験(オランダの大学病院)。2014年7月から2016年5月まで。対象者は、機能障害を伴う重度の疲労を訴える18〜59歳の女性50名。

介入群 (n = 25)には、皮下に anakinra 100mg/日、4 週間。治療後20週間フォローアップ。

主要転帰は、“Checklist Individual Strength subscale(CIS)- fatigue score”にて評価。二次転帰は、障害のレベル、物理的・社会的機能、心理的苦痛、および4, 24週における痛みの重症度。

CIS疲労スコアが健康な人のレベルに達したのは、anakinra 8% (2 of 25)、プラシーボ20% (5 of 25)。4週間およびフォローアップ中における平均差は 1.5 points (95% CI, −4.1 to 7.2 points)。また、二次転帰にも差は無し。

尚、anakinra群は局所の副作用が68% (17 of 25)に見られ、一方、プラシーボは4% (1 of 25)。.

有意差は無いものの、むしろ劣っていると言える。但し、サンプルサイズが小さいことことや、対象患者が女性のみであることから一般化はできない。

リウマチ炎症の2大要因である、TNFに対するエンブレル、インフリキシマと、IL-1に対するAnakinra(商品名Kineret)は、これまでの抗リウマチ薬以上の効果を挙げている。しかし、CFSに対しては有効ではなかった。

CFS患者の脳では、複数の部位に神経炎症が認められている。さらに、前帯状回や前頭前野のアセチルカルニチン代謝の低下や、前帯状回のセラトニントランスポーターの密度低下、モノアミン神経系の変化、およびグルコース取り込みの低下などが起きている。また、前頭葉が萎縮しており、体積の減少と疲労重症度は有意に相関している。

自律神経機能では、心拍変動解析や指尖加速度脈波の周波数解析によって、副交感神経機能低下と交感神経優位が判明している。心拍変動解析では、低周波成分と高周波成分の比(LF/HF)を年齢・性別のデータベースと比較して判定に使用されている。

「抗疲労・癒やしビジネス市場」は、2020年度には、国内だけでも年間12兆円になると予測されている。しかし、疲労は複雑で難しい病態であり、「疲労感」を緩和することと、「疲労本体」を回復させることは別の問題である。

例えば、カフェインは、一時的に脳を興奮させるだけで疲労本体には悪影響をおよぼす。同様に、にんにくや朝鮮人参なども興奮させるものである。これらは、軽い疲労感に対しては多少効果的とも言えるが、、。

鍼治療においても、漠然と疲労のみを訴える者や、逆に、重度の疲労を訴える患者については、その病態の判断も治療も難しい。

Cytokine Inhibition in Patients With Chronic Fatigue Syndrome: A Randomized Trial
Megan E. Roerink, Sebastian J.H. Bredie, Michael Heijnen; Charles A. Dinarello, et al.,
Ann Intern Med. 2017;166(8):557-564. DOI: 10.7326/M16-2391

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アルツハイマー病の保護因子とは [医学一般の話題]

アミロイドおよびアルツハイマー病(AD)の神経変性に影響を与える因子と保護因子は異なっている。

何故、アルツハイマー病に成る人と成らない人がいるのか。

メイヨークリニックにおける、70から90歳(平均年齢80歳、女性45%)の942名を対象にした、MRIおよびPittsburgh compound B-PETスキャンによる前向き調査。

人口動態、 ApoE、知的集積度、中年期および後期における危険因子 (身体的非活動性、肥満、喫煙、糖尿病、高血圧、および脂質)、心臓と代謝条件などの予測因子について評価し、多変量線形回帰モデルを用いてアミロイドおよびADパターン神経の保護因子を同定。

85歳以上のコホートのサブサンプルを使用し、Cohen d–based 効果サイズによって、非ADの老化に貢献する予測変数の量的強度を推定。

高年齢、女性、およびApoEのような既知の危険因子は別として、唯一、中年期の脂質はアミロイド沈着に関連付けられていた。また、中年期の肥満、喫煙、糖尿病、高血圧、および心臓と代謝の状態は神経変性に関係していた。

中年期の脂質とアミロイド沈着との関連付けは、他の研究と一致している。本研究では、コレステロールがアミロイドを介してアルツハイマー病の病因に重要な役割を果たしていることを示唆している。

教養の程度は、アミロイド沈着や神経変性の有意な予測とはならなかった。

85歳以上のコホートにおける“Cohen d”による推定では、非ADの老化を予測するには、仕事スコアと中年期高血圧を除く、いくつかの変数に弱~中程度の効果 (効果サイズ > 0.2) が認められた。

特に、明確な保護因子を突き止めた訳ではない。

出典文献
Evaluation of Amyloid Protective Factors and Alzheimer Disease Neurodegeneration Protective Factors in Elderly Individuals
Prashanthi Vemuri, David S. Knopman, Timothy G. Lesnick, et al.,
JAMA Neurol. Published online April 17, 2017. doi:10.1001/jamaneurol.2017.0244
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オピオイドと抗うつ薬を使用する膝OA患者は転倒リスクが高い [医学一般の話題]

オピオイドを使用した変形性膝関節症(膝OA)患者は、これらの鎮痛剤を服用していない者と比較して転倒リスクが22%高くなったと報告されている(adjusted RR 1.22, 95% CI 1.04-1.45, P=0.02)。

また、抗うつ剤を使用している膝OA患者は、2回以上転倒する確率が25% 高い(adjusted RR 1.25, 95% CI 1.10-1.41, P<0.0001)。

一般的に、オピオイドと抗うつ薬が高齢者の転倒リスクを高めることが示唆されており、特に新しい知見という程の報告ではないが。

変形性関節症イニシアティブ( the Osteoarthritis Initiative ;OAI)に基づくコホート研究による縦方向の分析。フォローアップは4年間。参加者は、ベースラインで45〜79歳の4231名。

患者を、(1) オピオイド、(2) 抗うつ剤、(3) その他の処方鎮痛薬、(4) 市販鎮痛薬、(5) 栄養、(6) 鎮痛剤を非使用の、階層的な順序で6つにグループ化し、毎年評価。

robust エラー分散による多修飾ポアソン回帰モデルを使用して, 次年度の再発性転倒 (≥ 2) リスクに対する鎮痛効果の影響を、人口動態、健康状態、行動要因について調整後推定。

オピオイドの使用は、ベースラインから36ヶ月までに2.7% から3.6%へと増加したが、他の処方鎮痛剤はこの期間中に16.7% から 11.9% に減少した。

尚、80%以上の患者が他の鎮痛剤ないしは栄養剤を使用していた(NSAIDs、コンドロイチングルコサミン、メチルサルフォニルメタン、ないしはs-アデノシルメチオニンなど)。

出典文献
Analgesic use and risk of recurrent falls in participants with or at risk of knee osteoarthritis: data from the Osteoarthritis Initiative.
W.-H. Lo-Ciganic, L. Floden, J.K. Lee, et al.,
Osteoarthritis and Cartilage 2017; doi: 10.1016/j.joca.2017.03.017.

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大気汚染はTLR4を活性化して認知症リスクを増加させる [医学一般の話題]

従来の研究から、交通関連による大気汚染は、人の認知機能老化を加速して認知症リスクを増加させ、高齢者への微小粒子状物質(PM2.5)の高レベル暴露は認知機能低下に関連していることが示唆されている。

この研究では、ナノ粒子状物質(nPM; diameter <0.2 μm)に対する RNA 応答を混合グリア培養(astrocytes and microglia)によって検討している。

マイクロアレイの有意性解析(significance analysis of microarrays ;SAM)と重み付き遺伝子の共発現ネットワーク解析(weighted gene co-expression network analysis ;WGCNA)で、Toll様受容体(Toll-like receptor 4;TLR4)とNF-κB がnPMとlipopolysaccharide (LPS) によって強力に活性化された。

in vitro において、TLR4siRNAによって、MyD88依存性経路を介してTNFαおよびその他の炎症反応が減衰した。

in vivoにおいては、慢性的にnPMに曝露されたマウスは、TLR4、MyD88、TNFα、およびTNFR2 RNAが増加し、海馬におけるTRAF6 RNA TLR4、および NF-κB 反応が減少した。

Toll-like receptor (TLR)
TLRは、動物の細胞表面にある受容体タンパク質で、種々の病原体を感知して自然免疫を作動させる。

siRNA(small interfering RNA)
siRNAは21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNAで、RNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与し、mRNAを破壊して配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。

出典文献
Toll-like receptor 4 in glial inflammatory responses to air pollution in vitro and in vivo
Nicholas C. Woodward, Morgan C. Levine, Amin Haghani, et al.,
Journal of Neuroinflammation201714:84 DOI: 10.1186/s12974-017-0858-x

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糖尿病患者は心血管疾患による死亡が大幅に少ない [医学への疑問]

糖尿病患者の心血管疾患による死亡率は健康者と比べて大幅に低く、特に、1型糖尿病では顕著に減少することが報告されている。
(The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE;世界4大医学雑誌の1つ)

この報告は、1998から2012年までと2014年までフォローされた、スウェーデン国立糖尿病登録患者を対象にした研究結果によるもの。

心血管イベントの傾向は、cox 回帰と標準化された発生率で推計。コントロールは、一般から無作為に選出し、患者ごとに、年齢、性別、住居地域によってマッチング。

結果

1型の糖尿病患者とコントロールとの比較(sentinel outcomes per 10,000 person-years

・全原因死亡率: −31.4 /1万人/年(95% confidence interval [CI], −56.1 to −6.7)
・心血管疾患による死亡:−26.0 (95% CI, −42.6 to −9.4)
・冠状動脈性心臓疾患による死亡: −21.7 (95% CI, −37.1 to −6.4)
・心血管疾患のための入院:−45.7 (95% CI, −71.4 to −20.1)

2型糖尿病患者の絶対変化

・全原因死亡率:−69.6 (95% CI, −95.9 to −43.2)
・心血管疾患死亡率: −110.0 (95% CI, −128.9 to −91.1)
・冠状動脈性心臓疾患による死亡:−91.9 (95% CI, −108.9 to −75.0)
・心血管疾患による入院:−203.6 (95% CI, −230.9 to −176.3)

1型糖尿病患者はコントロールよりも致死的心臓血管の転帰が約 40%と大きく減少している。逆に、2型糖尿病患者の減少は約20%で、致死的転機の減少は2 型糖尿病患者で少なかった。

日本の医学界は、この結果をどのように受け止めるだろうか。

出典文献
Mortality and Cardiovascular Disease in Type 1 and Type 2 Diabetes
Aidin Rawshani, Araz Rawshani, Stefan Franzén, Björn Eliasson, Ann-Marie Svensson, et al.,
N Engl J Med 2017; 376:1407-1418April 13, 2017DOI: 10.1056/NEJMoa1608664

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大気汚染に起因する死亡率の推計と25年間の動向 [医学一般の話題]

PM2·5による死亡は、1990年の350万人(95% UI 3.0 million to 4.0 million)から、2015年の420万人(3.7 million to 4.8 million)に増加し、10,310万人に健康寿命の損失(disability-adjusted life-years;DALYs)を与えた(2015年)。

また、PM2·5による全世界死亡率は推定7. 6%で、死亡リスク要因の世界第5位となった。

オゾンへの暴露が、254,000人の追加死亡を引き起こし (95% UI 97 000–422 000)、DALYsは410万人(1·6 million to 6·8 million)。

私が以前より主張してきたことでもあるが、地上レベルオゾンへの長期的暴露とCOPDの罹患率と死亡率の増加は関連している。人を含む霊長類の肺の構造と機能から、オゾン曝露による呼吸器系機能への悪影響と死亡率増加にリンクする証拠が、従来より多数の研究報告によって示唆されている。

この報告は、1990 ~ 2015 年までの、大気汚染に起因する疾病の死亡率・罹患について、世界的レベルで空間的・時間的傾向を検討した研究によるもの(The Lancet)。

PM2·5およびオゾンを、11 km × 11 kmの衛星ベースの分解能で、化学輸送モデルと地上レベルの測定に基づいて世界的な人口加重平均濃度を推定。

地球的規模におよぶ、非線型関数を用いた疫学的研究による統合された暴露-応答機能を使用して、虚血性心臓病、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、肺癌、および下部呼吸器感染症についての死亡原因の相対リスクを推定。

出典文献
Estimates and 25-year trends of the global burden of disease attributable to ambient air pollution: an analysis of data from the Global Burden of Diseases Study 2015
Aaron J Cohen, Aaron J Cohen, Aaron J Cohen, Richard Burnett, et al.,
The Lancet Published: April 10, 2017

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急性腰痛に対する整体療法の効果に関するレビューに一言 [医学への疑問]

急性腰痛症に対する脊椎整体療法は、統計的に僅かに有意な効果と、逆に、痛みの増加、筋肉のこわばり、および頭痛などの有害事象が50% から 67%に認められたと報告されている。

この研究は、コクランデータベースより抽出した、26の無作為化臨床試験(RCT)の、系統的レビューとメタアナリシス。

メインアウトカムは、治療後6週間以内における、痛みのビジュアルアナログスケール(VAS)、およびその他の数値疼痛尺度(measured by either the 100-mm visual analog scale, 11-point numeric rating scale, or other numeric pain scale)。機能評価は、24 点ローランドモリス障害者アンケート、またはオスウェストリー障害指数(range, 0-100)、およびその他の有害事象を評価。対象となった26件より15件のRCTを特定 (患者1711名)。

VASは−9.95 (95% CI, −15.6 to −4.3)で、統計的に有意な改善を示した。機能についても、“pooled mean effect size”は −0.39 (95% CI, −0.71 to −0.07)で有意。一方、有害事象については前述したとおり。

要約のみを読んでおりFull Textではないので、残念ながら、有害事例についての考察は不明。尚、結論では、研究結果の不均一性が大きかったと述べられている。この点にこそ、元の研究の問題点が有る。

痛みが軽快した者と悪化した者の違いは如何なる理由によるものかは考察されていない。、「急性腰痛」という病名のみで十把一絡げにまとめ、患者を単純に分類してしまう。結果を推測統計学的手法で解析しさえすれば質の高い研究ができたと思い込んでいる。

相変わらず、RCTとメタアナリシスを行えば質が高い研究だと言いたいのであろうが、元の研究もこのレビューも臨床的には無意味。

結果の違いの原因は、痛みの原因となっている病態の違いによるところが大きいはず。個々の患者の病態を考えずに単純に無作為化することで、治療効果や適応性を的確に判断できなくなっていると言いたい。

つまり、「集団と個人のギャップ」を考えていない。

無作為化の効用として、試験結果に与える因子が平均的に分布する。また、未知の錯乱因子を人工的に確率的誤差に転化できるなどが考えられる。

しかしながらそれでは、集団に対する治療効果の「平均値」、つまり、「平均的特性」に関する推測であって、個々の患者に対する効果は調べられない。したがって、臨床的に重要な、患者個人に対する治療法の選択や効果の予測には使えない。

個々の患者に求められるのは平均値ではない。要するに、このような研究は臨床には役に立たないのである。

急性腰痛の原因を正確に診断できない事情はあるだろう。しかし、臨床的必要性から言えることは、発症の経緯や痛みの程度と性状の違いは重要な要素であり、病態の違いと治療法の判断、さらに、効果の違いに結びつく。

尚、個人的な意見として、急性腰痛に対して整体治療が有効となるのはごく一部ではないだろうか。

出典文献
Association of Spinal Manipulative Therapy With Clinical Benefit and Harm for Acute Low Back Pain.
Systematic Review and Meta-analysis
Neil M. Paige, Isomi M. Miake-Lye, Marika Suttorp Booth, et al ,
JAMA. 2017;317(14):1451-1460. doi:10.1001/jama.2017.3086

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CPT-11 誘発性腸神経細胞損失と反応性神経膠症に肥満細胞が関与する [医学一般の話題]

イリノテカン( CPT-11 )誘発腸粘膜炎における、マクロファージ活性化、腸溶性神経膠症、および腸内神経細胞 (ens)の損失に肥満細胞(mast cells) が関与することが示唆されている。

CPT-11はトポイソメラーゼⅠ阻害剤であり、日本で開発された、カンレンボク由来の抗腫瘍性アルカロイドの誘導体。ヤクルトは「カンプト」、第一三共からは「トポテシン」の商品名で製造販売されている。

これらの薬品は、肺、胃、子宮頸部、卵巣、大腸癌などを治療するために使用されているが、患者の25% が腸粘膜炎を誘発し、重症例では致死的な下痢を起こす。

この文献は、CPT-11誘発腸粘膜炎におけるマスト細胞の役割を研究したもの。
マウスを、コントロールと前処置を含む4群に分け、CPT-11(60mg/kg, i.p.)を1日1回4日間投与し、5日目に安楽死させて検査。

CPT-11は、グリア線維性酸性蛋白質(GFAP)、S100β遺伝子、およびS100β蛋白質の発現を増加し、HuC/D蛋白質の発現を減少させた。

肥満細胞の活性化は、GFAPとS100βの発現を増加し、グリア細胞のプロ炎症性メディエーターの放出を通じて、CPT-11誘発腸粘膜炎に関連する病態生理学的プロセスに大きく作用する。

CPT-11が3つの小腸セグメントにおいて、マクロファージを活性化することが実証されている。また、マクロファージの活性化は、十二指腸と空腸の肥満細胞メディエーターに関連付けられていることが示唆されている。炎症性マクロファージの蓄積は、動物や炎症性腸疾患の患者の大腸で検出されており、病気の重症度と進行にリンクされている[1]。

肥満細胞は、腸内神経細胞、迷走神経神経線維、脊髄感覚神経の近くに局在し、神経免疫相互作用の重要な要素であることが示唆されている [2]。ニューロンの一次培養では、トリプターゼ、マスト細胞プロテアーゼ、プロテアーゼ活性化受容体2(PAR-2)の活性化を介して神経死につながることが示されている [3]。

さらに、ヒスタミン、脂質メディエーター、サイトカイン、および接着分子は、腸神経系ネットワーク上のパラクリン経路を介して肥満細胞機能 [4] を規制する。

これらのメカニズムは、神経障害に起因する腸の機能不全に影響を与える可能性があり、腸粘膜炎に対する鍼治療の参考にもなると思われる。

出典文献
The involvement of mast cells in the irinotecan-induced enteric neurons loss and reactive gliosis
Ludmila T. Nogueira, Deiziane V. S. Costa, Antoniella S. Gomes, et al.,
Journal of Neuroinflammation201714:79 DOI: 10.1186/s12974-017-0854-1

参考文献
[1]Isidro RA, Appleyard CB. Colonic macrophage polarization in homeostasis, inflammation, and cancer. Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol. 2016;311:G59–73.

[2]Van Nassauw L, Adriaensen D, Timmermans JP. The bidirectional communication between neurons and mast cells within the gastrointestinal tract. Auton Neurosci. 2007;133:91–103.

[3]Sand E, Themner-Persson A, Ekblad E. Mast cells reduce survival of myenteric neurons in culture. Neuropharmacology. 2009;56:522–30.

[4]Jacob C, Yang PC, Darmoul D, Amadesi S, Saito T, Cottrell GS, Coelho AM, Singh P, Grady EF, Perdue M, Bunnett NW. Mast cell tryptase controls paracellular permeability of the intestine. Role of protease-activated receptor 2 and beta-arrestins. J Biol Chem. 2005;280:31936–48.

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最大BMIと死亡率との関係 [医学一般の話題]

16年以上の最大BMIとその後の死亡率(特定死亡率および全原因死亡率)との関係を3つの前向きコホート研究によって調査。

その設定は、看護婦の健康調査I , II、および健康専門家のフォローアップ調査。

死亡対象者は、男性225, 072名、女性32, 571名、フォローアップの平均は12.3年。

最大BMIs 別死亡率の多変量ハザード
体重(overweight ;25.0 to 29.9 kg/m2) :multivariate hazard ratio [HR], 1.06 [95% CI, 1.03 to 1.08])
肥満1(obese I ;30.0 to 34.9 kg/m2): HR, 1.24 [CI, 1.20 to 1.29])
肥満Ⅱ(obese II ;≥35.0 kg/m2) :HR, 1.73 [CI, 1.66 to 1.80])

BMIが35.0以上では、死亡率は73%高くなる。

通常体重を超える最大BMIと過剰リスクのパターンは、喫煙の状態、性別、年齢の調整後も維持されたが、70歳以下および非喫煙者で最も大きかった。

これに対して、BMIが単一のベースラインを使用して定義された場合、過体重と死亡率 の間に逆の関係が認められた(HR, 0.96 [CI, 0.94 to 0.99]) 。

また、最大の過体重は、心臓血管疾患や冠動脈心臓病などの特異的原因による死亡率に関連付けられていた。

このように、BMIの単一ベースラインを使用することによって、死亡率との関係を混乱させている可能性がある。最大BMIは、単一ベースラインBMI評価に関連する逆因果関係バイアスを最小化するための、有用なメトリックとなる可能性があると記されている。

研究の制限として、残留交絡と誤分類がある。

出典文献
Weight History and All-Cause and Cause-Specific Mortality in Three Prospective Cohort Studies
Edward Yu, Sylvia H. Ley, JoAnn E. Manson, Walter Willett, et al.,
Ann Intern Med. 2017. DOI: 10.7326/M16-1390

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