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CGRPは群発性頭痛発作を引き起こすか [医学一般の話題]

群発性頭痛患者へのカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の投与は、活動期群発性頭痛および慢性群発性頭痛患者の頭痛発作を誘発したが、寛解期群発性頭痛では発症しなかった。研究者らは、抗CGRP薬が群発頭痛の管理に有効であると述べている。

91名の患者のうち、32名(35.2%)が対象となった。平均年齢36歳(19-60歳)。最終的に、研究を完了したのは27人の男性(84.4%)であった。

メインアウトカムは、活動期群発性頭痛患者、慢性群発性頭痛患者、および寛解期群発性頭痛患者の3群に分けて、頭痛発作の頻度、頭痛強度スコア(0〜90分)の曲線下面積(AUC)の差を、CGRPとプラシーボを評価。

CGRP群は、活動期の9名中8名(89%、95%CI、63-100)に群発性頭痛を誘発し、プラシーボ群では9名中1名(11%、95%CI)(P = 0.05)。

慢性群発性頭痛患者では、CGRP群は14名中7名(50%、95%CI、20-80)が頭痛を誘発し、プラシーボ群では無かった(P = 0.02)。

寛解期患者ではCGRPおよびプラシーボともに発作を誘発しなかった。

CGRPの平均AUCは、活動期患者では1.903(95%CI、0.842-2.965)で、プラシーボ群の平均AUCは0.343(95%CI、0 -0.867)(P = 0.04)。

慢性群発頭痛の患者では、CGRPの平均AUCは1.214(95%CI、0.395-2.033)で、プラシーボ群の平均AUCは0.036(95%CI、0 -0.114)(P = 0.01)。

寛解期では、CGRPについての0〜90分の平均AUCは0.187(95%CI、0〜0.571)であり、プラシーボの平均AUCは0.019(95%CI、0〜0.062)(P >0 .99)であったが有意差は無かった。

しかし。

CGRPは片頭痛発作を誘発し、抗CGRP薬は片頭痛発作を阻止し予防する。 一方、CGRPが群発性頭痛発作を引き起こすかどうかは不明であったため、検証を目的としてこの研究が行われた。頭痛発作を誘発するか否かまでが、この研究結果によって知り得ることであり、頭痛管理に有効とまでは言えない。

また、CGRPの投与による頭痛発作の誘発は、活動期患者では89%であったのに対し、慢性群発性頭痛患者50%、寛解期患者では0であったことが追求されていない。複数の因子が誘発の原因となっていることは明らかであり、さらに分析すべきである、と思う。

出典文献
Effect of Infusion of Calcitonin Gene-Related Peptide on Cluster Headache Attacks
A Randomized Clinical Trial
Anne Luise H. Vollesen, Agneta Snoer, Rasmus P. Beske, BSc, et al.,
JAMA Neurol. Published online July 9, 2018. doi:10.1001/jamaneurol.2018.1675

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ベル麻痺への鍼治療はステロイドよりも優れていた [鍼灸関連研究報告から]

特発性末梢性顔面神経麻痺(Bell's Palsy)患者119名を対象に、ステロイド群(53例)、鍼治療群(28例)、および対照群(38例)に分けたランダム化比較試験の結果、全体の改善(グレード3以上)は、ステロイド群で86.9%、鍼治療群で96.4%、対照群で89.5%で、鍼治療群が最も高かった。さらに、4週間後に改善した患者の数も鍼治療群で最も多かった(2009年の文献だが)。

但し、研究者の結論では、3群における回復の程度と回復速度の差は統計的に有意ではなかったとし、同等であったと記されている。その理由として、373人の患者のうち適格者が119人のみであり、サンプルサイズが小さかったことにある。その原因は、割り当てられたグループを維持できなかったことや、フォローアップへの参加の不履行であった。

しかし、初期グレードの不均一な分布を考慮すると、鍼治療は最も優れていた可能性は高い。患者の重症度分布で比較すると、対照群は(軽度3級以下)が65.8%であったのに対し、鍼治療群では32.2%、ステロイド群では41.5%であった。すなわち、軽度患者が対照群は鍼治療群の約2倍であり、ステロイド群も10%弱高い。したがって、鍼治療群と他のグループとの差は、実際にはより大きなものであった可能性が高い。

本症は、一般的に予後良好で、未治療でも70%が完治すると言われているが、対照群が89.5%と高い。その要因として、初期グレードの不均一な分布が影響したものと推測される。因みに40点法で22点以上ならば100%が治癒するものの、全体の13%程度が回復が不完全であったり、異常連合運動(synkinesia:口輪筋の随意運動で眼輪筋収縮が起きる、開口や咀嚼で眼瞼が挙上するMurcus Gunn症候群や食事をすると涙がでる、ワニの涙症候群など)の障害が起きる。

別の1件の研究でも、130人のベル麻痺患者において、プレドニゾロン、血管拡張薬(ベンダゾール)およびビタミンBよりも鍼治療が優れていたと報告されている(1)。但し、鍼治療の費用がより高価であり、単純には推奨されないとも記されている。また、Liらは、480名の患者の試験で、鍼治療はプレドニゾンよりも優れていたと報告している(2)。

1回の治療コースは週3回の治療セッションで構成され、手技刺激で得気を誘導後20分間留鍼。電気刺激は使用しなかった。回復しない場合は3ヶ月まで治療を続けた。治療ポイントは、Quanliao乳根(SI18)、Sibai四白(ST2)、Dicang地倉(ST4)、Jiache頬車(ST6)、Yangbai陽白(GB14)、Hegu合谷(LI4)、Yifeng翳風(TE17)。

尚、私見として、電気鍼を使用しなかったことは賢明であったと言いたい。電気刺激は上記の異常連合運動の発症を助長する。

ベル麻痺の原因については依然として議論の余地はあるが、約8割が水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、および単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)の再活性化(膝神経節に潜伏)であると言われている。その他では、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、EBウイルス、インフルエンザウイルスなどが原因となる。一般的には、ステロイドの投与によって顔面神経の浮腫を改善し、顔面神経管内における絞扼による神経変性を防ぐことが治療の中心となっている。しかし、その有効性についての評価は必ずしも一定していない。

当院を受診した患者の中には、自分が顔面神経麻痺であることに気づいておらず、私が鏡を見せて指摘すると、「これは鍼治療をしている場合ではないか。」と言い、その後来院しなくなる人もいる。信頼度では医師に遠くおよばないことは承知しているが、、。個人的には、本症に対する鍼治療の効果は高いと感じている。しかし、特に、軽症例では著効を示すものの、自然治癒との比較検証は困難である。

出典文献
A prospective randomised controlled study on efficacies of acupuncture and steroid in treatment of idiopathic peripheral facial paralysis Free .
Fu Man Tong1, Shun Kit Chow, Patrick Yiu Bong Chan, Alex Kam Wah Wong, et al.,
Acupunct Med 2009;27:169–73.
http://dx.doi.org/10.1136/aim.2009.000638

1.
Liu Min, Comparison of acupuncture and drug treatment for 130 patients with facial palsy. J Clin Acupunct 1996;12:56.

2.
Li Y, Liang FR, Yu SG, et al., Efficacy of acupuncture and moxibustion in treating Bell’s palsy: a multicenter randomized controlled trial in China. Chin Med J (Engl) 2004;117:1502–6.

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FKBP51の薬理学的遮断が持続性疼痛治療の新しい標的となる [医学一般の話題]

FKBP51の欠失は、雌および雄マウスの関節炎、神経因性疼痛状態に見られる機械的過敏症、および化学療法誘発疼痛モデルに見られる過敏症を減少させた。さらに、これら3つの持続性疼痛モデルにおいて見られる機械的過敏症の重篤度を、FKBP51リガンドであるSAFit2を用いて薬理学的に減少させることが実証された。

SAFit2を徐放性の小胞リン脂質ゲル製剤と組み合わせた場合、SAFit2の単回注射によって少なくとも7日間の疼痛緩和をもたらした。

FKBP51は、他のタンパク質の折りたたみおよび活性を変化させるコ-シャペロン(co-chaperone)である。ステロイド複合体の結合、およびグルココルチコイド受容体(GR)機能の阻害を介して、視床下部 - 脳下垂体 - 副腎(HPA)軸と呼ばれるストレス軸を調節する(1.)。

外傷事象はHPA軸を活性化する強力なストレス因子であり、脆弱な個体における永続的な外傷後疼痛の発症に寄与する可能性が高い。興味深いことに、報告された疼痛とFKBP5遺伝子変異との関連は、外傷直後よりも外傷後6週間でより強く、急性の痛みよりも持続的に貢献することが示されている(2.)。

これらの知見と一致して、FKBP51は齧歯類後角部において発現され、慢性関節炎症性疼痛の発生および維持に重要な役割を果たしているが、急性疼痛反応に影響しないことが示されている。

炎症性関節を有するFKBP5ノックアウトオスマウスは、野生型と比較して疼痛が減少し、siRNAを用いた脊髄レベルでのFKBP51の阻害によって関節炎症性疼痛が有意に減少した。FKBP51の発現はsiRNAの髄腔内送達によって後角において有意に減少したが、後根神経節は無傷のままであり、後根神経節で発現されたFKBP51は痛状態の維持に寄与しない可能性が示された。さらに、機械的過敏症の長期にわたるFKBP51調節は、脊髄レベルの長期疼痛状態に見られる過敏症を調節することが以前に示されている(3.4.)。

FKBP51の欠損は、慢性疼痛状態において上方制御されるサイトカインインターロイキン-6(IL6)の脊髄レベルでの発現およびGRの転写発現の減少と関連していた

著者らは、ヒトおよびげっ歯類の持続性疼痛治療のための新しいアプローチとしてFKBP51の薬理学的遮断を提案している。

出典文献
The stress regulator FKBP51: a novel and promising druggable target for the treatment of persistent pain states across sexes
Maiarù, Maria, Morgan, Oakley B., Mao, Tianqi, Breitsamer, et al.,
PAIN: July 2018 - Volume 159 - Issue 7 - p 1224–1234
doi: 10.1097/j.pain.0000000000001204

1.
Zannas AS, Wiechmann T, Gassen NC, Binder EB. Gene–stress–epigenetic regulation of FKBP5: clinical and translational implications. Neuropsychopharmacology 2016;41:261–74.

2.
Bortsov AV, Smith JE, Diatchenko L, Soward AC, Ulirsch JC, Rossi C, Swor RA, Hauda WE, Peak DA, Jones JS, Holbrook D, Rathlev NK, Foley KA, Lee DC, Collette R, Domeier RM, Hendry PL, McLean SA. Polymorphisms in the glucocorticoid receptor co-chaperone FKBP5 predict persistent musculoskeletal pain after traumatic stress exposure. PAIN 2013;154:1419–26.

3.
Wang S, Lim G, Zeng Q, Sung B, Ai Y, Guo G, Yang L, Mao J. Expression of central glucocorticoid receptors after peripheral nerve injury contributes to neuropathic pain behaviors in rats. J Neurosci 2004;24:8595–605.
Cited Here...

4.
Wang S, Lim G, Zeng Q, Sung B, Yang L, Mao J. Central glucocorticoid receptors modulate the expression and function of spinal NMDA receptors after peripheral nerve injury. J Neurosci 2005;25:488–95.

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一酸化炭素放出分子-3は虚血再灌流誘発脳損傷を軽減する [善玉・悪玉概念の否定]

一酸化炭素放出分子(CORM)-3は、神経炎症を抑制して血液脳関門の破壊を緩和することにより、虚血再灌流誘発脳損傷を軽減して神経回復を促進することが示唆されている。

一酸化炭素中毒でお馴染みの外因性COは、ヘモグロビンに対する高い親和性(ヘモグロビンに対する親和性はO2の210倍)によってカルボキシヘモグロビン(COHb)となる。その結果、酸素がヘモグロビンに結びつけなくなることで組織への酸素の送達が損なわれるため、一般的には有毒性ガスとして認識されているが、毒性の有無や必要性は濃度によって異なってくる。

COは、体内においても、ビリベルジンからヘムオキシゲナーゼによって産生されている。神経伝達物質としての機能や平滑筋弛緩作用などもある。

COは低レベルでは、その潜在的な抗炎症性、抗アポトーシス性および抗増殖性によって複数の組織に対して有益性を有している。本研究は、一過性中大脳動脈閉塞(tMCAO)マウスモデルを使用してCORM-3の役割を明らかにしている。

tMCAOを受けたマウスのうち、CORM-3を投与されたマウスは生理食塩水処置マウスよりも梗塞容積が有意に少なく、ニューロン核抗原(NeuN)および微小管関連タンパク質2のより大きな発現が示された。 CORM-3処置マウスは、対照マウスよりも梗塞周囲領域において活性化ミクログリアが優位に少なく、イオン化カルシウム結合アダプター分子(Iba)-1、腫瘍壊死因子-α、およびインターロイキン1βの発現が抑制された。

CORM-3処置マウスは、tMCAO後3,7と14日目に有意に低い脳含水量および神経学的転帰を示した。また、CORM-3処理はエバンスブルー漏出を減少させた。血小板由来増殖因子受容体-β、タイトジャンクションタンパク質ZO-1、およびマトリックスタンパク質ラミニンの発現増加、マトリックスメタロプロテイナーゼ-9のタンパク質レベルを低下させた。

低濃度の吸入COがNrf2経路を活性化することによって神経保護効果をもたらすことが示されている(1)。しかしながら、COガスの適用は、低酸素による毒性、CO吸入施設の必要性、および血中酸素レベルのモニタリングなどの制限がある。これに対して、遷移金属カルボニルはCOを送達するための良好な候補である。

水溶性CORM-3は、制御された量のCOを運搬および放出することができる一群の化合物であり、COHbを毒性レベルに変化させることなく外因性COを送達する。 CORM由来COによる効果のメカニズムは未解明だが、腎虚血再灌流傷害、外傷性脳損傷、移植、敗血症、高血圧および心臓血管障害を含む、多数の損傷モデルにおける組織損傷に対する保護的効果を実証する多くの研究が報告されている(2.3.4.5.6.7.8.)。

CORM-3治療は、BBB破壊を軽減して脳梗塞および浮腫を軽減し、神経機能を改善することによって脳損傷後の良好な転帰に寄与し得る。

出典文献
Carbon monoxide-releasing molecule-3 protects against ischemic stroke by suppressing neuroinflammation and alleviating blood-brain barrier disruption
Jianping Wang, Di Zhang, Xiaojie Fu, Lie Yu, Zhengfang Lu, et al.,
Journal of Neuroinflammation201815:188
https://doi.org/10.1186/s12974-018-1226-1

1.
Wang B, Cao W, Biswal S, Dore S. Carbon monoxide-activated Nrf2 pathway leads to protection against permanent focal cerebral ischemia. Stroke. 2011;42:2605–10.

2.
Yoon YE, Lee KS, Lee YJ, Lee HH, Han WK. Renoprotective effects of carbon monoxide-releasing molecule 3 in ischemia-reperfusion injury and cisplatin-induced toxicity. Transplant Proc. 2017;49:1175–82.Google Scholar

3.
Yabluchanskiy A, Sawle P, Homer-Vanniasinkam S, Green CJ, Foresti R, Motterlini R. CORM-3, a carbon monoxide-releasing molecule, alters the inflammatory response and reduces brain damage in a rat model of hemorrhagic stroke. Crit Care Med. 2012;40:544–52.

4.
Ruan Y, Wang L, Zhao Y, Yao Y, Chen S, Li J, Guo H, Ming C, Chen S, Gong F, Chen G. Carbon monoxide potently prevents ischemia-induced high-mobility group box 1 translocation and release and protects against lethal renal ischemia-reperfusion injury. Kidney Int. 2014;86:525–37.

5.
Choi YK, Maki T, Mandeville ET, Koh SH. Dual effects of carbon monoxide on pericytes and neurogenesis in traumatic brain injury. Nat Med. 2016;22:1335–41.

6
Jamal Uddin M, Joe Y, Kim SK, Oh Jeong S, Ryter SW, Pae HO, Chung HT. IRG1 induced by heme oxygenase-1/carbon monoxide inhibits LPS-mediated sepsis and pro-inflammatory cytokine production. Cell Mol Immunol. 2016;13:170–9.

7.
Chatterjee PK. Water-soluble carbon monoxide-releasing molecules: helping to elucidate the vascular activity of the ‘silent killer’. Br J Pharmacol. 2004;142:391–3.

8.
Zhang W, Tao A, Lan T, Cepinskas G, Kao R, Martin CM, Rui T. Carbon monoxide releasing molecule-3 improves myocardial function in mice with sepsis by inhibiting NLRP3 inflammasome activation in cardiac fibroblasts. Basic Res Cardiol. 2017;112:16.

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椎間関節症候群に対する椎間関節内ステロイドvs傍脊柱筋内注射(?) [腰痛関連]

タイトルには、「Effect of Facet Joint Injection Versus Systemic Steroids in Low Back Pain」と記されているが、傍脊柱筋内と椎間関節へのステロイド注射はそれぞれ6ポイントであり、「椎間関節注射対全身ステロイド注射の効果」とするのは適切ではない。

研究デザインは「Randomized clinical trial」で、エビデンスレベルは、上から2番目の「Level of Evidence: 2」。しかし、レベルが高い研究とは思えない。

この文献は「要約」のみで(全文公開の文献もたまにあるが)、評価項目である、痛みの視覚的アナログスケール、脊柱の伸展中の痛みの視覚的アナログスケール、リカートスケール、改善率、Roland-Morris、36項目短形健康調査の数値が全く記されていないので、判断はできないのだが、感じた疑問点を述べてみたい(医師でもないのに、、)。

先ず、被験者は、椎間関節症候群と診断された60人とのことだが、「椎間関節症候群」そのものが曖昧であり、どの様に定義し、検査されたのか不明。それ以前に、明確な診断基準があったのかなど疑わしい。

介入群は椎間関節内注射、コントロールとして傍脊柱筋内注射(それぞれにtriamcinolone hexacetonide)。ベースライン時および1,4,12,および24週に評価している。

各時点の分析では、ローランド・モリスの質問票、リカート尺度による改善率および治療への対応において、介入群の改善が見られた。両群ともに効果的であり、関節内注射は筋肉内注射に対してわずかに優位性が示されたと記されているが、その差は記述が無いので不明。しかし、「わずかに優位」との表現から、実際にはほとんど差が無かったものと推測できる。

そもそも、椎間関節症候群に対して傍脊柱筋内ステロイド注射に効果があるとは考えられない。したがって、椎間関節内注射に対するコントロールとして意義があるのか疑問。また、両群がスコアをどの程度軽減できたのかを知りたい。要約であっても、評価項目の数値ぐらいは記すべきと言いたい。

出典文献
Effect of Facet Joint Injection Versus Systemic Steroids in Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial
Ribeiro, Luiza Helena, Furtado, Rita Nely Vilar, Konai, Monique Sayuri , et al.,
Spine: November 1st, 2013 - Volume 38 - Issue 23 - p 1995–2002
doi: 10.1097/BRS.0b013e3182a76df1

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アメリカでは女性の自殺率が16年間で50%上昇 [らくがき]

全米保健統計センター(National Center for Health Statistics;NCHS)の報告によれば、女性の自殺率が2000年から2016年にかけて50%上昇し、年齢調整自殺率全体では30%増加。

女性の自殺率が最も高い年齢層は45-64歳で、2000年の10万人当たり6.2人から2016年には9.9人に増加した。

男性では、2000年から2016年にかけて全体的に21%上昇し、毎年平均2%程度上昇した。

2000年以降2016年にかけて、自殺率は毎年2%上昇。過去10年間、自殺は、すべての年齢において、死亡原因の第10位にランクされている。

自殺の方法は、10歳から14歳の女子では70%が窒息(懸垂、または酸素の制限)によるものであった。

15歳以上の全体では、銃器によるものが圧倒的に高く、
15-24歳:51%
25-44 :48%
45-64 :55%
65-74 :74%
75歳<:81%
であった。

自殺が異常に多いことと、銃社会であることがこの結果にも表れている。

引用文献
Suicide rates in the United States continue to increase
Hedegaard H, et al.,
National Center for Health Statistics Data Brief 2018; No. 309.

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ランニングは本当に健康を改善するのか? [スポーツ健康法という妄想]

ランニングなどの定期的な運動は、多くの一般的な慢性疾患の予防および治療に非常に有効であり、特に、心臓血管の健康を改善して寿命を延長すると言われている。

しかし、薬理作用物質と同様に、物理的身体活動の副作用(筋骨格系外傷、代謝性障害、心血管系ストレスなど)がその恩恵を上回る可能性がある。

安全な上限線量限界が潜在的に存在するはずだが、適切な運動量について、依然として満足のいく答えが得られているとは言いがたい。 そもそも、一般の大部分の人たちは特別な運動はせずとも普通に生きている。

座っていることが多い人では、1日当たり15分というわずかな運動で実質的な健康上の利益が得られ、これらの利益は用量依存的に1日当たり約1時間まで同様である。52,000人の成人を対象とした15年間の観察研究では、ランナーは非ランナーと比較して全死因死亡率が19%低かった。主に高齢者では、30分間の運動セッションで酸化ストレスが軽減して動脈弾力性が改善されたが、60分間のセッションでは酸化ストレスが増悪し、脈波伝播速度が増加した。

マラソンや他の極端な耐久イベントのトレーニングや競技の際には、感受性の高い個体において有害な心血管効果を生じる。心筋トロポニン、クレアチンキナーゼMB、およびB型ナトリウム利尿ペプチドを含む心臓損傷の血清学的マーカーは、マラソン実行中およびその後において、参加者の50%まで増加することが報告されている。

極端な身体活動後のトロポニンを含む心臓バイオマーカーのレベルの増加は心筋細胞の損傷を反映している可能性がある。

長期間にわたる過度の持久運動は、心臓および大動脈の病的なリモデリングを誘発し得る。マラソン、ウルトラマラソン、トライアスロン、および長距離自転車競技など、極端な持久力イベントにおける継続的訓練および競技は、心房および右心室の一時的急激な容積過負荷を引き起こし、1週間以内に正常に戻る心臓バイオマーカーの増加を招く。

一般的には、身体活動への長期的な適応から生じる一時的良性的な増加である可能性があると主張されている。しかし、バイオマーカーの上昇の意義の真実は不明である。

数ヶ月から何年もの間繰り返す傷害のために、個人によっては、特に心房、心室中隔および右心室において斑状の心筋線維症をもたらし、心房および心室性不整脈の基質を生成する。さらに、長期間にわたる持続的な運動は、冠動脈石灰化、拡張機能不全、および大動脈壁の硬化に関連し得る。蓄積された証拠は、短期間の強い身体活動と累積持久運動の両方の副作用が右心室で最も顕著であることを示唆している。

休息時の心拍出量は約5リットル/分であるが、激しい身体活動中には約25リットル/分まで増加する。長期間に続けられるセッションによって、再発性の腔の伸張およびチャンバーの幾何学的形状の再構築により、RVおよびRAの慢性的な拡張を含む構造変化の発生が起こる可能性がある。このような、再発性の容積過負荷および過剰な心臓の緊張に応答して瘢痕化する。これらの異常はしばしば無症候性であり、おそらく長年月におよんで、心房細動や心室性不整脈(VAs)のような深刻な不整脈を発症する可能性がある。

引用文献
Potential Adverse Cardiovascular Effects From Excessive Endurance Exercise
James H. O'Keefe, Harshal R. Patil, Carl J. Lavie, Anthony Magalski, et al.,
Mayo Clin Proc. 2012 Jun; 87(6): 587–595.
doi: 10.1016/j.mayocp.2012.04.005

Lee J., Patte R., Lavie C.J., Blair S.N. Running and all-cause mortality risk: is more better? Med Sci Sports Exerc. 2012;44(6):990–994.

Michaelides A.P., Soulis D., Antoniades C. Exercise duration as a determinant of vascular function and antioxidant balance in patients with coronary artery disease. Heart. 2011;97(10):832–837. [PubMed]

Sharma S., Zaidi A. Exercise-induced arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy: fact or fallacy? Eur Heart J. 2012;33(8):938–940. [PubMed]

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Kim J.H., Malhotra R., Chiampas G. Cardiac arrest during long-distance running races. N Engl J Med. 2012;366(2):130–140. [PubMed]

Sheppard M.N. The fittest person in the morgue? Histopathology. 2012;60(3):381–396. [PubMed]

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Maron B.J., Pelliccia A. The heart of trained athletes: cardiac remodeling and the risks of sports, including sudden death. Circulation. 2006;114(15):1633–1644. [PubMed]

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運動介入は軽~中等度認知障害に対する進行遅延効果無し [スポーツ健康法という妄想]

軽度から中等度の認知症患者の認知障害および他の転帰に対し、中程度〜高強度の好気性および筋力トレーニングによって体力は改善したが、その他の臨床的アウトカムを改善させる効果は認められなかった。さらに、差はわずかだが、運動介入群のほうが認知障害が進行した。
この知見は、オックスフォード大学Sarah E. Lamb氏らによる、無作為化臨床試験「Dementia And Physical Activity:DAPA試験, BMJ誌2018年5月16日号)の結果によるもの。

すなわち、運動が日常生活の活動、行動成果、および健康関連の生活の質を改善させることはなく、むしろ認知機能を悪化させる可能性すらあるということ。

私にとっては、納得のいく結果である。何か楽しいことをする。その目的のために体を動かして頭も使う。このような活動は認知機能にとっても有益であろうが、運動そのものに効果があるとは考られない。

因みに、私は、中学・高校の体育の授業や部活以来これといった運動もスポーツも一切していないし、「健康法」など考えたことも無いが、全く問題は無い。昨年の5月に、たまたま、ある植物の毒で軽く死にかけたのだが、その際、病院退職後30数年ぶりに血液検査を受け、その他に、心電図、心エコー、胸部レントゲン、および頭部CT検査も行った。恐らく、オレアンドリンなどの強心配糖体による心筋へのダメージによると思われる、LDH(261)の若干の増加と、V1~V3誘導にSTの逆転が見られたが、それ以外は全て正常であった。

従来、一般世間のみならず医師たちでさえ、運動によって認知機能の低下を予防、あるいは改善できるなどとする、勝手な思い込みや希望的予測がある。しかしこれまでに、無作為化試験に基づくような十分なエビデンスは存在しなかった。

この研究の対象者は、イングランドの15地域から、NHSプライマリケアの患者、大学のコミュニティ&メモリサービス利用者、認知症研究登録者、およびボランティアの494名。参加者の平均年齢は77歳(SD 7.9歳)で、301/494(61%)は男性。

2対1の割合で、329名を運動介入群、165名を通常ケア群に無作為に割り付けた。運動介入群は、通常ケアに加えて、監督下で行う運動を地域のジム施設およびNHSの施設において4ヵ月間実施し、その後、継続的に運動に関するサポートを受けた。

メインアウトカムは、アルツハイマー病評価スケール下位項目(ADAS-cog)の12ヵ月時点のスコアであった。セカンドアウトカムは、ADL、神経学的症状、健康関連QOL、要介護度など。運動介入群の体力測定として、6分間歩行テストなどが行われた。

12ヵ月で、平均ADAS-cogスコアは介入群で25.2(SD 12.3)、通常ケア群で23.8(SD 10.4)(グループ差-1.4,95%信頼区間-2.6〜-0.2、 P = 0.03)。平均差が小さく、臨床的関連性は不確実だが、運動群において認知障害が大きい。認知症タイプ(アルツハイマー病またはその他)、認知障害の重症度、性別、および運動性によって、セカンドアウトカムおよびサブグループ分析に差異は認められなかった。参加者のうち65%以上(214/329人)が予定されたセッションの4分の3以上に参加。 6分間歩行距離が改善した(平均変化18.1m、95%信頼区間11.6m〜24.6m)。

「運動によって痴呆症が進行する可能性がある」、とすると、そのメカニズムは如何なるものか。

私なりの推測を述べると、2つの要因が思い浮かぶ。第1は、筋への血液の集中による他臓器の虚血と、その後の再環流にともなう活性酸素の多量発生による傷害。第2は、運動の継続によるHDLコレステロールの増加。運動をしている人は、しない人に比べてHDLコレステロールが30~40%高い。一般には善玉と言われているHDLコレステロールだが、老年性痴呆症の患者ではHDLは高く、その意味合いは時と場合によって異なる。

また、この研究では、認知症のタイプでセカンドアウトカムやサブグループ分析に差は認められなかったと記されているが、ADAS-cogについては判然としない。

別の研究(*)では、認知症タイプによって運動プログラムに対する応答に差異があることが報告されている。非アルツハイマー型認知症の参加者は、アルツハイマー型認知症よりも運動による効果が大きく良好な認知機能を有していた。非アルツハイマー型痴呆の参加者の82%が血管起源の痴呆または脈管成分を伴う痴呆を有すると考えると、運動介入は血管リスク因子に影響をおよぼす可能性がある。

個人的には、認知機能の評価法に疑問がある。また、人の脳機能は複雑であり、単純な尺度で評価できるとは考えにくい。認知症の実体は単一の病態で構成されているとみなすべきではなく、症状管理を最適化するためには異なる戦略を必要とするのではないだろうか。

出典文献
Dementia And Physical Activity (DAPA) trial of moderate to high intensity exercise training for people with dementia: randomised controlled trial
BMJ 2018; 361 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k1675 (Published 16 May 2018)
Cite this as: BMJ 2018;361:k1675


Effects of a High-Intensity Functional Exercise Program on Dependence in Activities of Daily Living and Balance in Older Adults with Dementia
Annika Toots, Håkan Littbrand, Nina Lindelöf, Robert Wiklund, Henrik Holmberg,et al.,
J Am Geriatr Soc. 2016 Jan; 64(1): 55–64.
Published online 2016 Jan 19. doi: 10.1111/jgs.13880
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IL-33 / ST2シグナル伝達が根性痛に寄与する [腰痛関連]

IL-33とその受容体であるST2シグナル伝達が、非圧迫性椎間板ヘルニアのラットモデルにおける根性痛の発生および進行において重要な役割を果たすことが示唆されている。

脊髄で起こる免疫および炎症反応は、椎間板ヘルニアに起因する根性痛の進行において中心的な役割を果たす。IL-33は、神経系の広範な炎症反応および自己免疫性障害を引き起こす。

本研究は、背側脊髄におけるIL-33とその受容体ST2の発現を調査し、その阻害が、非圧迫性椎間板ヘルニアのラットモデルにおいて、疼痛関連行動を減弱するか否かを検証したもの。

先ず、遺伝子サイレンシングのために、IL-33(LV-shIL-33)を標的とする短いヘアピンRNAをコードするレンチウイルスベクターを構築。次に、非圧迫性椎間板ヘルニアラットモデルを作成した。手術後1日目に、ラットの背骨にLV-shIL-33(5または10μl)を注射して機械的閾値を21日間観察して評価。

さらに、脊髄腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、IL-1β、IL-6、シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)の発現レベル、マイトジェンの活性化(MAPK)、およびNF-κB経路を評価し、IL-33 / ST2シグナルの根性痛への寄与に関連するメカニズムについて推測。

非圧迫性椎間板ヘルニアラットとは。
腰椎上で正中線の背側切開を行い、多趾筋をL4-L6棘突起に沿って除去し、右脊髄神経根およびDRGは椎弓切除術を通して露出。 2つの尾骨間椎間板から自己髄核を採取し、機械的圧縮なしでL5 背髄神経節(DRG)に適用したもの。 偽手術群では、髄核を収穫したが、背中の手術領域から同様の量の筋肉を採取して代わりにDRGに適用。

背髄神経節(DRG)への髄核(NP)の適用は、主に後角ニューロン、アストロサイト、およびオリゴデンドロサイトにおいて、脊髄におけるIL-33とST2発現の増加を誘導した。脊髄に送達されたLV-shIL-33はIL-33の発現をノックダウンし、顕著に機械的アロディニアを軽減した。さらに、LV-shIL-33の脊髄投与は、脊髄IL-1β、TNF-α、COX-2のC-Jun N末端キナーゼ(JNK)、細胞外シグナル調節キナーゼERK)、およびNF-κB/ p65の過剰発現を減少させた。尚、p38は減少しなっかった。

著者らは、脊髄IL-33発現の阻害は、椎間板ヘルニアによって引き起こされる根性痛を治療するための潜在的治療法になり得ると述べている。

ヘルニア化した椎間板によって誘発される根性痛は、一般的な成人人口の2.2%におよぶと推定されている。根性痛のメカニズムは、ヘルニア髄核(NP)による神経根への機械的圧迫が原因であると考えられてきた。しかし、末梢および中枢神経系で起こる免疫および炎症反応が、根性痛の進行においても重要な役割を果たすという考えを裏付ける証拠が増えている(1.2.)。

神経根の炎症が、単独ないしは機械的な圧迫との組み合わせによって神経根の痛みに寄与する。同時に、神経根症の症状はその非存在下でも起こりうる。

IL-33は、サイトカインのIL-1ファミリーの新規メンバーであり、ST2およびIL-1レセプターからなるその受容体複合体による免疫応答および炎症応答の調節に関与することが示されている(3.)。 IL-33の発現は、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)、細胞外調節キナーゼ(ERK)、p38MAPK、c-Jun N末端キナーゼ(JNK))および核因子-κB(NF -κB)などによって媒介される。

IL-33 / ST2シグナル伝達は、実験的自己免疫性脳脊髄炎、アルツハイマー病およびクモ膜下出血を含む、多くの炎症性および自己免疫疾患の発症および伸展において重要な役割を果たす。

また、IL-33 / ST2シグナル伝達が末梢および中枢神経系における炎症性疼痛の調節に関与していることが報告されている(4.5.)。さらに、脊髄神経結紮または坐骨神経の慢性狭窄傷害後の神経因性疼痛の調節において、脊髄IL-33 / ST2シグナル伝達が重要な役割を果たすことも示されている(6.7.)。

出典文献
IL-33/ST2 signaling contributes to radicular pain by modulating MAPK and NF-κB activation and inflammatory mediator expression in the spinal cord in rat models of noncompressive lumber disk herniation
Si-Jian Huang, Jian-Qin Yan, Hui Luo, Lu-Yao Zhou, Jian-Gang Luo
Journal of Neuroinflammation201815:12
https://doi.org/10.1186/s12974-017-1021-4

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Miao GS, Liu ZH, Wei SX, Luo JG, Fu ZJ, Sun T. Lipoxin A4 attenuates radicular pain possibly by inhibiting spinal ERK, JNK and NF-kappaB/p65 and cytokine signals, but not p38, in a rat model of non-compressive lumbar disc herniation. Neuroscience. 2015;300:10–8.View ArticlePubMedGoogle Scholar

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Liu ZH, Miao GS, Wang JN, Yang CX, Fu ZJ, Sun T. Resolvin D1 inhibits mechanical hypersensitivity in sciatica by modulating the expression of nuclear factor-kappaB, phospho-extracellular signal-regulated kinase, and pro- and antiinflammatory cytokines in the spinal cord and dorsal root ganglion. Anesthesiology. 2016;124:934–44.

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Verri WA Jr, Souto FO, Vieira SM, Almeida SC, Fukada SY, Xu D, Alves-Filho JC, Cunha TM, Guerrero AT, Mattos-Guimaraes RB, et al. IL-33 induces neutrophil migration in rheumatoid arthritis and is a target of anti-TNF therapy. Ann Rheum Dis. 2010;69:1697–703.

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Verri WA Jr, Guerrero AT, Fukada SY, Valerio DA, Cunha TM, Xu D, Ferreira SH, Liew FY, Cunha FQ. IL-33 mediates antigen-induced cutaneous and articular hypernociception in mice. Proc Natl Acad Sci U S A. 2008;105:2723–8.

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Liu S, Mi WL, Li Q, Zhang MT, Han P, Hu S, Mao-Ying QL, Wang YQ. Spinal IL-33/ST2 signaling contributes to neuropathic pain via neuronal CaMKII-CREB and astroglial JAK2-STAT3 cascades in mice. Anesthesiology. 2015;123:1154–69.View ArticlePubMedGoogle Scholar

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Zarpelon AC, Rodrigues FC, Lopes AH, Souza GR, Carvalho TT, Pinto LG, Xu D, Ferreira SH, Alves-Filho JC, McInnes IB, et al. Spinal cord oligodendrocyte-derived alarmin IL-33 mediates neuropathic pain. FASEB J. 2016;30:54–65.

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膝OA痛の大半が筋筋膜起源とする報告(TKAsは本当に必要か) [膝OA]

膝OA痛の起源は何かについて、少々考えたい。参考になる文献として、全膝関節形成術( total knee arthroplasty :TKA)の待機中の患者を対象にした調査がある(2012)。膝周囲における活動的なトリガーポイントを検査し、そのトリガーポイントにブピバカインを注射して8週目まで効果を評価したもの。

測定は、タイムアップ・アンド・ゴーテスト(Timed Up and Go test)、短期疼痛インベントリー (Brief Pain Inventory:BPI)、疫学研究センターうつ病スケール、状態 - 形質不安インベントリとShort-Form McGill Painアンケート。

筋筋膜トリガーポイントはすべての参加者で同定され、腓腹筋内側頭部が92%、内側広筋に67%認められた。

ほぼ全ての参加者が、BPI測定において、介入直後の疼痛強度の軽減を報告した。トリガーポイントへの注射後20分で、注射前と比較して疼痛強度は有意に低下した(P <0.001)。疼痛強度は、参加者の92%(22/24)が100mmスケールで20mm以上減少した。

トリガーポイントは、最も一般的には腓腹筋の頭部にあり、介入直後に痛みの急激な減少と機能の改善が観察され、その効果は8週間の調査期間にわたって持続した。

現在、欧米を中心にTKAが増加している。カナダのJoint Replacement Registry 2009 Annual Reportでは、過去10年間に実施されたTKAs数が300%増加し、中でも、45〜54歳までが顕著であったと報告されている(1.)。

膝OA痛は機能と相関しないことや、放射線学的変化が臨床的疼痛と相関しないことも示されている。関節損傷が疼痛強度または障害を予測しないことを考慮すると、多くの患者がTKAを不必要に受けている可能性がある。

膝関節の損傷部位そのものを切除するため、人工膝関節全置換術は究極の治療法と受け止められている。しかし、術後の遺残性疼痛が10~34%に存在すると報告されており、その痛みが術後のリハビリの弊害になっている。これでは手術の意味があるのか疑問と言わざるを得ない。

人工膝関節全置換術後の疼痛管理において、関節内浸潤麻酔と大腿神経ブロックを組み合わせることが術後の疼痛の軽減と早期リハビリを可能にするとする報告もある。それでは逆に、手術以前に未だ方法があるのではないかと思う。

また、最近の研究では、関節鏡手術が中等度膝OA患者に対して治療価値が無いことが実証されている(2.3.)。

本研究では、OA膝痛の患者の痛みの主要原因として、腓腹筋内側頭および内側広筋(大腿四頭筋)が特定されている。階段の昇降時の足関節の底屈および伸展などの運動が、これらの骨格筋を支配する神経系の痛覚過敏によって膝関節領域において感知される痛みを引き起こし、患者がその痛みを関節自体を起源とみなすことは十分に考えられる。また、末梢神経だけではなく、中枢感作がOA膝痛に寄与するという証拠もある(4.5.)。

OA患者が求める臨床サービスは鎮痛である。しかし、従来の鎮痛薬による治療にもかかわらず、OA患者の大半は痛みを経験し続けている。従って、疼痛経路のより深い理解は未だ得られていないと言える。

因みに、私の治療ポイントにも共通する部位がある。しかし、私は、「トリガーメカニズム」ではなく、「Myofascial Neuronal Disorder:筋・筋膜性神経障害」と、勝手に呼称した概念を提唱している。

出典文献
Myofascial pain in patients waitlisted for total knee arthroplasty
Richard Henry, Catherine M Cahill, Gavin Wood, Jennifer Hroch, Rosemary Wilson, et al.,
Pain Res Manag. 2012 Sep-Oct; 17(5): 321–327.

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尿酸は抗酸化作用によってニューロンを保護する [善玉・悪玉概念の否定]

細胞内尿酸値を上昇させることにより、LPS誘発パーキンソン病(PD)モデルにおいて、活性化ミクログリアによって誘導される炎症から保護したと報告されている。

尿酸は、炎症促進性サイトカイン産生、誘導性シクロオキシゲナーゼ2および酸化窒素シンターゼ発現を抑制して、活性化ミクログリアの毒性作用からドーパミン作動性ニューロンを保護した。

また、尿酸の神経保護効果は、インターロイキン10およびトランスフォーミング成長因子β1などの、抗炎症因子の刺激と関連している可能性がある。

神経保護効果は、腎臓において尿酸を再吸収する、グルコーストランスポーター9および尿酸トランスポーター1(URAT1)の両方の阻害剤であるプロベネシド(PBN)の前処理によって無効となった。PBNはまた、尿酸の抗炎症作用を消滅させた。

尿酸投与によって、リポ多糖(LPS)誘発PDモデルラットにおける運動協調の損失が逆転した。さらに、血漿尿酸値の上昇は、URAT1発現の減少、インターロイキン-1βの発現増加、およびイオン化カルシウム結合アダプター分子1-陽性ミクログリア数をそれらの形態変化と共に削減した。

高尿酸血症が心血管疾患や腎障害を悪化させる可能性があると考えられている。

一方、痛風がパーキンソン病やアルツハイマー型認知症、および血管性・非血管性認知症の減少に関連するとの報告が増えている(Lancet 2016; 388: 2039-2052)。

高尿酸値とPD発症リスクが低いこには相関があり、疾患の進行速度の低下も報告されている(Arch Neurol. 2008;65:716–23.Schwarzschild MA, Constantinescu R, Drugs Today. 2011;47:369–80. )

尿酸は通風の原因として、とかく悪玉とみられているが、単なる老廃物ではない。糸球体で濾過された尿酸は、尿細管上皮細胞の管腔側に発現するURAT1/SLC22A12と、血管側に発現するGLUT9/SLC2A9(URATv1)の2つのトランスポーターによって90%が再吸収され、尿中に排泄されるのは残りの10%に過ぎない。つまり、必要性があるからこそ、腎臓は一所懸命尿酸を再吸収しているのである。

尿酸の生理学的役割として抗酸化作用が重要である。その認識は、1970年のNatureの論文(Nature 1970; 228: 868)が発端となった。活性酸素やフリーラジカルによる過剰な酸化作用は、細胞膜の脂質の酸化といった様々な組織障害を引き起こす。その主なものとして、例えば、海馬の神経細胞の酸化による障害によってアルツハイマー型認知症、黒質ではパーキンソン病などの、炎症反応に関与する。

日本における「高尿酸血症・痛風診療ガイドライン」では、無症候性高尿酸血症への薬物治療の導入は血清尿酸値8.0mg/dL以上を一応の目安としている。しかし、米国リウマチ学会の痛風ガイドラインでは、無症候性高尿酸血症の治療を推奨していない(Arthritis Care Res2012; 64: 1431-1446)。適応はより慎重にすべきである。

出典文献
Urate inhibits microglia activation to protect neurons in an LPS-induced model of Parkinson’s disease
Li-Hui Bao, Ya-Nan Zhang, Jian-Nan Zhang, et al.,
Journal of Neuroinflammation201815:131
https://doi.org/10.1186/s12974-018-1175-8

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ドライアイにオメガ3脂肪酸は効果無し [薬とサプリメントの問題]

ドライアイは、眼の不快感および視覚障害を特徴とする疾患で、生活の質を低下させる。多くの臨床医は、n-3脂肪酸(オメガ3脂肪酸)のサプリメントを推奨しているようだ。

しかし、OSDIスコアの平均変化に活性サプリメント群とプラシーボ群で有意差はなかった。さらに、結膜染色スコア、および角膜染色スコアも、ベースラインに比べて有意な変化は認められなかった。

この試験は、27臨床施設における多施設二重盲検臨床試験。923名のドライアイ患者から、適格した349名を無作為に、プラシーボ群(オリーブオイル)と、活性サプリメント群EPA2000mg、DHA1000mgに分けて毎日服用させ、1年間観察したもの。

主要転帰は、眼球表面疾患指数(OSDI;スコア0〜100、スコアが高いほど症状の重症度が高い)のベースラインからの平均変化(6および12ヶ月)。二次転帰は、結膜染色スコア(0〜6の範囲)、および角膜染色スコア(0〜15の範囲)の眼球当たりの平均変化。眼球表面のより深刻な損傷を示す高いスコア、ならびに涙液分裂時間(涙液膜の瞬きと隙間との間の秒数)およびシルマー試験(下まぶたに置かれた紙片の濡れの長さ:より低い値はより重度の徴候を示す)の結果で評価。

OSDIスコアの平均変化は、活性サプリメント群 −13.9ポイント、プラシーボ群−12.5ポイントで有意差は無かった。欠損データの補完後変化の平均差-1.9点(95% confidence interval [CI], −5.0 to 1.1; P=0.21)で、有意差無し。.

二次転帰も、ベースラインから12ヶ月の平均変化は、結膜染色スコアの変化の平均差は0.0ポイント(mean difference in change, 0.0 points; 95% CI, −0.2 to 0.1)。角膜染色スコアは0.1ポイント(0.1 point; 95% CI, −0.2 to 0.4)、涙液分裂時間0.2秒(95% CI, −0.1 to 0.5)、Schirmer’s test 0.0 mm(95% CI, −0.8 to 0.9)で、何れも有意差無し。

12ヶ月時点で、赤血球中のn-3脂肪酸のレベルから、活性サプリメント群における治療への遵守率は85.2%であった。有害事象の割合も2群で同様。

出典文献
n−3 Fatty Acid Supplementation for the Treatment of Dry Eye Disease
N Engl J Med 2018; 378:1681-1690
DOI: 10.1056/NEJMoa1709691

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膝OAに見られる骨髄浮腫は全膝関節形成術のリスクに関連する [膝OA]

変形性膝関節症(膝OA)のMRI所見において、骨髄浮腫(bone marrow edema;BME)の存在と将来における全膝関節形成術(TKA)の必要性との間には強い相関が認められている。一方、半月板裂傷の存在や軟骨の損失はその後のTKAとは相関しなかった(少々古い文献だが)。

グループの年齢差を考慮して、一般化された推定を用いた多変数ロジスティック回帰モデルを実施。将来におけるTKAの必要性は、全身BMEパターンを有する対象は、BMEなしで焦点、嚢胞陽性の対象と比較して5.45倍(p <0.05)。さらに、全身BMEを有する対象はBMEを認めない対象と比較して13.04倍(p <0.01)であり、BMEの存在は膝OAの悪化と強く相関した。

すなわち、BMEのグローバルパターンは、3年以内ににおけるTKAリスクの最も良い予測因子であった。

さらに、直観的には、軟骨の損失が大きいほど人工膝関節全置換術の可能性が高いと予想されるが、MRイメージングにおける軟骨喪失の程度と人工膝関節全置換術は有意な相関を示さなかった。

OAの病態は、古典的には、関節周囲の硝子軟骨の劣化に関連していると認識されているが、正確な病因および疼痛の原因は不明。

MRI上で明るく見える軟骨下骨の領域は、確立されたOAおよび前臨床OA において一般的に観察され、骨髄病変(bone marrow lesions;BMLs)と呼ばれている(1.2)。いくつかの最近の研究でも、BMEを含むBMLとOAの進行やTKAリスクとの関連性が示唆されていた(1.3.4.)。

BMEは、T1強調画像上の低信号強度の領域として定義され、T2強調画像上の中間または高信号強度の所見に関連している。文献上、BMEには2つの異なるタイプがある。第1のタイプは関節の外傷による損傷で、数週間から数ヶ月で自発的に解消する。第2のタイプのBMEは外傷を伴わずに発症し、BME病変とMRI上のOA所見の進行が関連すると指摘されている(5.6.7.8.)。

尚、最近、後ろ向き研究によって、膝の骨関節炎における痛みを伴うBMEに対する体外衝撃波治療(ESWT)の有効性が報告されており(9)、膝OAの新たな治療法となる可能性がある。

追伸
最近の研究では、関節リウマチ(RA)において、MRIで認められる骨変化は病状の活動性や関節破壊の予後を決定する因子であることが指摘されている (10.11.)

RAをはじめとする関節炎で認められる骨髄浮腫は、骨髄の炎症を反映しており、リンパ球を主体とした炎症細胞の浸潤であると考えられている。骨髄浮腫はCRPやDASなどとも相関し、臨床的にも炎症の活動性と関連している。骨髄浮腫は骨侵食の前駆状態として、関節破壊や関節機能の予後を予測する重要な因子である (12.-15.)。

MRIでは、骨皮質や骨髄の炎症が骨侵食や骨髄浮腫として描出される。このように、滑膜炎から骨侵食および骨髄浮腫に至る過程に見る、RAとOAとの病態の違いと共通性を明らかにすることが重要と考えられる。

出典文献
Bone marrow edema in the knee in osteoarthrosis and association with total knee arthroplasty within a three-year follow-up
Courtney Scher, Joseph Craig, Fred Nelson3,
Skeletal Radiol. 2008 Jul; 37(7): 609–617.
Published online 2008 May 8. doi: 10.1007/s00256-008-0504-x

引用文献
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11. Hetland ML, Ejbjerg B, Horslev-Petersen K et al : MRI bone oedema is the strongest predictor of subsequent radiographic progression in early rheumatoid arthritis. Results from a 2-year randomised controlled trial(CIMESTRA). Ann Rheum Dis 68 : 384-390, 2009

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膝OAの有病率への疑問 [膝OA]

変形性関節症(OA)による疼痛は、慢性疼痛の最も頻繁な原因の1つ。中でも、膝OAは我が国における推定患者数は1,000万人と言われており、今後、高齢化によって増加することが予想されている。因みに、一般集団における有病率は6% – 8%(Carmona et al., 2001; Dillon et al., 2007)であるのに対し、高齢者では13% – 26% (Zhang et al., 2002)と高くなる。

我が国における有病率は2,500万人で、有症率は800万人と言われている。しかし、本当だろうか。私は、これらの数値を信用できないのである。

膝OAは、単純X線所見における、大腿骨脛骨関節裂隙の狭小化や骨棘の有無で判定する。しかし、画像所見と臨床症状は一致しない。さらに、膝OAには一般化された明確な定義も診断基準も存在しない。したがって、有病率およびリスク要因を推定することは無理がある。

例えば、Nelson A. E., et al.,の報告では、「一般化骨関節症(GOA)」という矛盾した定義を前提として、Medline文献を検索して入手した関連する論文は108件の全文レビューを含む948件で、GOAの定義は15以上であった。

集団研究によると、単純X線によるOA変化と膝関節痛との不一致が報告されている。関節損傷を示す単純X線所見は関節痛の素因にはなるが、痛みの根本的な病理は単純X線所見のみでは識別できない。

医師は、目の前の患者に、何を根拠として「変形性膝関節症です。」と宣言しているのか。X線画像か、臨床症状か。

MRIなどの画像検査によって、半月板裂傷、滑膜炎、軟骨下骨髄病変、関節下骨の摩耗、および関節水腫のような構造変化が膝痛に関与することは明らかである。 しかし、MRI画像における骨髄病変や炎症マーカーは膝OA患者の痛みに関連してはいるものの、それらの構造変化が痛みに与える影響の程度は不明である。その主な理由として、研究対象が関節症性変化の後期であるため、既に、様々な病理学的変化が混在しており、その中の1つひとつの構造変化が病状に与える影響を検証することが困難であることが挙げられる。

病理学的変化の異質性は、疼痛に関連する特定の構造的変化、および病原性変化が同定され得るかどうかの問題を提起している。

Siebuhrらは(2016)は、OAの初期段階を発症要因によって、滑膜駆動OA(炎症を特徴とする)、軟骨駆動OA、軟骨下骨および骨髄病変駆動OA、外傷駆動OA、半月板病変その他駆動OAの4つに分類している。 進行段階では、異なる病理学的過程が組み合わされて同様の最終段階の表現型に進展すると考えている。

治療において最も重要なのは、膝OAの痛みの原因解明と的確な治療法の確立であることは言うまでもないことだが、現実には遅々として進歩していない。

Annett Eitnerらは(2017)はレビューの中で、OAの痛みに関与していると考えられるメカニズムとして、3つのレベルを考慮している。(1)OA関節における局所病理学的プロセス。 (2)OAの疼痛に関与する疼痛処理のニューロン機構および変化。(3)OAの疼痛において、役割を果たす可能性のある遺伝的および代謝的因子などの一般的因子。

膝OAの痛みについては、後日、原因と治療法を含めて文献的に考えたい。

引用文献
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Annett Eitner, Gunther O. Hofmann, Hans-Georg Schaible
Mechanisms of Osteoarthritic Pain. Studies in Humans and Experimental Models
Front Mol Neurosci. 2017; 10: 349.
Published online 2017 Nov 3. doi: 10.3389/fnmol.2017.00349

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脾臓は早産児の胚芽出血における二次的脳損傷に寄与する [免疫・炎症]

胚芽出血(GMH)は早産児に発症する一般的な神経学的事象であり、アメリカでは、毎年12,000人の早産児の20%が妊娠32週前までに発症する。GMHは死亡率が高く、精神遅滞、脳性麻痺、精神障害などを含む、水頭症や生涯におよぶ神経機能障害をもたらす。

さらに、脳卒中は単なる脳傷害だけではなく、複数の臓器に全身反応を誘発することが示されており、脳と末梢器官との間の潜在的関係を研究する必要がある。特に、脾臓は炎症応答において、末梢免疫細胞を調節する重要な役割を果たしていることが報告されており、二次的な脳損傷に深く関わっている。

この文献のタイトルは、「ビリベルジンレダクターゼ-Aは、eNOS / NO経路を介したトール様受容体4の阻害によって、脾臓によるGMH誘発炎症反応を減弱させた。」である。
Biliverdin reductase-A (BLVRA)の効果を調べることで、eNOS / NO / TLR4経路を介してGMHに応答する、脾臓炎症を調節するBLVRA依存性シグナル伝達経路を明らかにしている。

BLVRAは、ビリベルジンレダクターゼ(BVR)の主アイソフォームを有する多面発現性酵素で、細胞レドックスサイクルにおいて重要な役割を果たす、 ビルバーデン-IX-アルファ(biliverdin-IX-alpha)をビリルビン-IXアルファ(bilirubin-IX-alpha)に変換する。ビリルビンは、強力な抗酸化性神経保護剤であることが示されている(1.2.)。

BLVRAは、インスリンシグナル伝達を調節し、アルツハイマー病における認知機能障害の軽減に寄与するセリン/トレオニン/チロシンキナーゼを有する。BVRの上流にある誘導性アイソザイムヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の調節は、免疫調節、循環完全性、および細胞生存に関連する多因子機構に関与していた。

マクロファージにおけるHO-1のアップレギュレーションは、抗炎症M2表現型を導くインターロイキン(IL)-10を増加させたが、腫瘍壊死因子(TNF)-αは減少した。

TLR4は炎症誘発性遺伝子の転写を活性化するために、下流経路を誘発することによって先天性免疫系に強く関連する典型的なTLRファミリーメンバー(3.)。 IL-1β、IL-6、およびTNF-αを含むTLR4などの炎症性サイトカインが、GMH傷害脳において著しく増加することが実証された。 これらの効果は、BLVRA治療によって弱められた。 ビリベルジンレダクターゼは、TLR4のような前炎症性エフェクターのAP-1部位に直接結合することにより炎症調節因子として機能する(4.)。 また、BLVRAノックダウンが脾臓炎症を悪化させることからも、BLVRAがGMH誘導性の脾臓炎症反応を減少させるのに重要であることが示唆された。

しかし、私は鍼灸師なので、炎症性疾患に関与する末梢免疫系の調節における脾臓の作用に関心がある。

脾臓は、大量の免疫細胞を貯蔵する二次末梢免疫臓器であり、脳損傷後に炎症誘発反応を生じさせる(5.)。

脾臓が脳卒中後の神経変性を促進するメカニズムとして考えられるのは、脾臓萎縮および末梢免疫細胞の放出に寄与する交感神経系の活性化によるものである(6.)。 これらの炎症誘発性免疫細胞は脳に浸潤し、神経炎症および神経変性を悪化させる。

交感神経活性化(7.)、走化性サイトカイン産生(8.)、抗原提示(9.)など、脳卒中による多くの脾応答が研究されている。脳卒中によって、脾臓収縮が誘発されると脾臓細胞は循環して原発性脳損傷の領域に蓄積する。一方、脾臓摘出術および脾臓照射は、脳損傷によって誘発された脾応答を正常に減弱して脳病変サイズおよび神経変性転帰の減少に寄与する(10,11,12)。

この他にも、肝硬変において、脾動脈の結索や脾臓の摘出によって肝機能が改善する。

出典文献
Biliverdin reductase-A attenuated GMH-induced inflammatory response in the spleen by inhibiting toll-like receptor-4 through eNOS/NO pathway
Yiting Zhang, Yan Ding, Tai Lu, Yixin Zhang, Ningbo Xu, Devin W. et al.,
Journal of Neuroinflammation201815:118 https://doi.org/10.1186/s12974-018-1155-z

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新生児集中治療室における多剤耐性酵母感染の予測因子は体温計だった [医学一般の話題]

新生児集中治療室(NICU)における多剤耐性Candida auris感染の発生が、多用途温度計の使用に関連していると報告された(オックスフォード大学David Eyre博士ら)。

多くの患者に使用する腋窩部温度モニタリングはオッズ比6.8で、C.auris感染の独立した予測因子だった(OR 6.80,95%CI 2.96〜15.64、P <0.001)。

(欧州臨床微生物感染症学会(European Microbiology and Infectious Diseases)の年次総会である欧州微生物学・感染症会議(ECCMID))

酵母Candida aurisは一般環境ではほとんど検出されなかったが、マルチ患者使用機器および走査型電子顕微鏡のプローブ表面上で確認された。さらに、その発生は温度プローブの除去後にのみ制御された。

さらに、マルチユース温度計に加えて、全身性フルコナゾールの使用(3件)がリスク増加に関連した(OR 10.2,95%CI 1.64〜63.5、P = 0.01)。

C.auris診断された入院患者の66例中57例が温度計を使用し、一方、コントロールでは361例中122例が使用した。

この研究による知見は、説明できない医療関連アウトブレイクでは、特に、マルチユースの患者機器を慎重に調査する必要性を示している。

出典文献
Epidemiology and successful control of a Candida auris outbreak in a U.K. intensive care unit driven by multi-use patient monitoring equipment.
Eyre D, et al.,
European Society of Clinical Microbiology and Infectious Diseases, ESCMID 2018; Abstract O0172.

医療関連施設における、MRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)、MDRP(multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa)などの、一般細菌による多剤耐性菌感染症は従来より知られている。一方、近年注目されている侵襲性感染症として、2016年6月にCDCは抗真菌薬に多剤耐性酵母Candida auris(C.auris)による感染症についての注意喚起をおこなっている。

CDCがC.aurisによる感染症を懸念している理由は、他のカンジダには認められなかった複数の抗真菌薬に対して耐性を有すること(分離株の約半数が2系統以上の抗真菌薬に対して耐性がある)。また、標準的な検査方法でC.aurisを同定することが困難であること。
したがって、C.aurisは医療施設において、アウトブレイクの原因となる可能性がある。

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変形性膝関節症はいつ発症するのか [膝OA]

変形性膝関節症(膝OA)とは何か?。一般的な認識では、慢性の関節炎を伴う関節疾患であり、関節の構成要素の退行変性によって軟骨の破壊と骨・軟骨の増殖性変化をきたし、二次的に関節炎(滑膜炎)を発症する疾患。しかし、明確な定義や診断基準があるわけではない。

発症過程を時系列で知りたいのだが判然としない。文献を探しても、英語力の問題もあってか、それらしい研究がなかなか見つからない。少し前の文献だが、膝OA発症前から、MR画像によって前向きに追跡調査した報告(2015年)について紹介したい。

膝OAを発症していない中年の被験者を対象として、膝内側のMR画像上における、半月板内信号強度の自然経過を6年以上追跡した大規模コホートの縦断的研究。

参加者340名(45〜55歳)中、ベースラインで膝半月板に裂傷が見られた71名を除く、269名を被験者とした。

ベースラインのMR画像において、膝半月板に、線状の、組織学的病期分類システムに対応する等級の信号強度が26%存在した。この半月板内信号強度は経時的には解消されず、半月板裂傷に進行する傾向があった。線維性半月板内信号強度を呈する160膝のうち、48ヵ月間のフォローアップまでに19%(31膝)が同じセグメントで半月板裂傷を発症した。

組織学的には、内側半月板内のシグナル強度は、粘液変性のバンドまたは小胞形成およびコラーゲンバンドの分離の病巣を表し得る (1.2)。

ベースラインにおいて半月板内信号強度を伴わない被験者では、6年間のフォローアップ後に半月板裂傷が発症するのはわずか3%(11膝)であった。同じセグメントに半月板内信号強度が存在した場合には、時間の経過とともに半月板裂傷を発症するハザード比は18倍高くなった。

このように、半月板内シグナルが時間とともに解決する可能性は低く、内側の変性半月板裂傷の危険因子とみなされるべきであり、早期膝OA発症に重要な役割を果たす可能性があると述べられている。

重要なのは、このコホートの、ほとんどの半月板裂傷は、強い膝外傷によって引き起こされたものではなく、その裂傷の大部分は退行性であったことである。

これらの知見から、半月板の裂傷は、典型的には急性外傷事象の結果ではなく、むしろ遅発的な変性過程であるという証拠が提示された。半月板裂傷が発症したほとんどの被験者が、既に、ベースラインで半月板内信号強度を有していたので、変性による裂傷を発生するまでの正確な経緯は不明である。

退行性半月板裂傷は、X線撮影による膝関節症の有無にかかわらず、45歳以上の人に共通する(3.4.)。このような裂傷は、X線撮影に基づく変形性関節症を発症するリスクの増加と高い関連がある(5.6.)。したがって、筆者らは、半月板内信号強度が疾患が放射線学的に明らかになる以前に膝の変性プロセスを示すかもしれないという、仮説を提唱している。

但し、この調査は、半月板内信号強度が将来的に半月板裂傷に進展することを確認したものであり、この傾向を以て、膝OAのリスク要因とは言えない。

日本国内だけで、現在、患者数は1000万人と推定されている。私が病院を退職して開業してから30年以上経つが、膝OAの治療はほとんど変化なく、進歩していない。

出典文献
Natural History of Intrameniscal Signal Intensity on Knee MR Images: Six Years of Data from the Osteoarthritis Initiative
Jaanika Kumm, Frank W. Roemer, Ali Guermazi, Aleksandra Turkiewicz, Martin Englund,
Radiology. January 2016; 278(1): 164–171.
Published online 2015 Jul 14. doi: 10.1148/radiol.2015142905

追伸

以前にも、同様の報告(2015.7.30.:膝OA発症は滑膜炎・半月板損傷が先行する)を紹介している。これは、前述した一般的な認識とは違い、膝OA発症は滑膜炎が先行するとする意見。重複するが、参考までに簡単に述べる。

変形性膝関節症(膝OA)の病態において、その軟骨損傷は症状やリスク増加と関連しないことは以前より指摘されていること。軟骨における病理学的変化は、膝OAにおける開始事象であるとする一般的な概念は、これを支持する証拠は無い。実際、以前にこのブログで紹介した研究でも、初期の病原性プロセスとして半月板損傷、骨髄病変(BMLs)、および滑膜損傷が示唆されている。

この研究では、膝OA発症の48ヶ月前の355膝を対象にした、性別、年齢、および対照膝について1対1のマッチングによるケースコントロール研究で、MRIによる骨髄病変(BMLs)、半月板損傷、滑膜炎の検査結果を、条件付きロジスティック回帰分析によって評価したもの。

滲出性滑膜炎;HR1.81 [95% CI 1.18-2.78])
内側半月板損傷;HR 1.83 (95% CI 1.17-2.89) at P-2予測放射線OA発生率.
At P-1では。
内側 BMLs;HR 6.50(95% CI 2.27-18.62)でリスクは最高の6.5倍
滲出性滑膜炎;HR2.50 (95% CI 1.76-3.54)

膝OAの症状と病態および疾患の進行において、非軟骨性機能の役割を強調する結果となっている。軟骨はOAの痛みの原因になることはほとんどなく、これは、症状と放射線画像との不一致から従来より指摘されていたこと。

Frank W. Roemer1, C. Kent Kwoh, Michael J. Hannon, David J. Hunter, et al.
What Comes First- Multitissue Involvement Leading to Radiographic Osteoarthritis: Magnetic Resonance Imaging-Based Trajectory Analysis Over Four Years in the Osteoarthritis Initiative
American College of Rheumatology, 2015, Volume 67, Issue 8, pages 2085-2096,
Article first published online: 28 JUL 2015 DOI: 10.1002/art.39176

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喫煙は左心室肥大, 収縮機能不全, 心不全入院の危険因子と報告 [医学一般の話題]

参加者は、ベースライン時に心不全(incident heart failure;HF)または冠状動脈性心疾患の既往歴のない4129人(喫煙なし2884人、現在の喫煙者503人、元喫煙者742人)の黒人(平均年齢54歳、女性63%)。

交絡因子を調整した後、現在の喫煙は禁煙と比較して、平均左心室マス指数(mean LV mass index)が高く、平均左心室円周歪(mean LV circumferential strain)はより低かった(P <0.05)。喫煙状況、強度、および負担は平均脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)レベルの上昇と関連していた(すべてP <0.05)。

8.0年間(中央値7.7-8.0)の追跡調査で、147件の心不全入院があった。心不全による入院との関連性では、現在の喫煙者の喫煙強度が、タバコ20本以上/日でハザード比3.48(95% confidence interval, 1.65-7.32)と、約3.5倍。≥15 pack-years.では、ハザード比2.06(95% confidence interval, 1.29-3.3)。

タバコの喫煙が左心室の構造と機能に悪影響を与え、結果として心不全発症のリスク増加に関与する。

但し、参加者が黒人のみであることにこの研究の限界がある。また、いつも思うことだが、「タバコの喫煙」として、単純に十把一絡げに扱って良いのか疑問。

BNPは、心不全によるうっ血を解消するために心臓内で生成されるホルモンで、血管の拡張と強い利尿作用を有するとともに、交感神経やレニン・アルドステロン系を抑制して心臓を保護する。このBNPは、心不全の指標として使われ、基準値は20pg/mL以下。Abstractのみ読んでおり、数値が記されていないため詳細は不明。

出典文献
Cigarette Smoking and Incident Heart Failure: Insights From the Jackson Heart Study
Daisuke Kamimura, Loretta R. Cain, Robert J. Mentz, et al.,
Circulation. 2018;CIRCULATIONAHA.117.031912
https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.117.031912

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ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤は炎症性腸疾患のリスク増加に関連する [薬とサプリメントの問題]

2型糖尿病治療薬である、ジペプチジルペプチダーゼ-4インヒビター(DPP-4阻害剤)の使用は、炎症性腸疾患のリスクの全体的な75%の増加と関連していた。

552 413 person yearsのフォローアップにおいて、208件の炎症性腸疾患事象が発生(100,000人年あたり原発罹患率は37.7%;95% confidence interval 32.7 to 43.1)。DPP-4阻害剤による炎症性腸疾患のリスク増加は100,000人年あたり53.4 v 34.5で、hazard ratio 1.75(95% confidence interval 1.22 to 2.49)。

ハザード比は、使用期間が長くなるにつれて徐々に増加し、3〜4年後にピーク(hazard ratio 2.90, 1.31 to 6.41)となり、4年以上使用した後に減少した(1.45, 0.44 to 4.76)。

DPP-4阻害剤(日本ではテネリア錠:田辺三菱)は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)を分解する酵素であるDPP-4の働きを選択的に阻害する薬剤。インスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制することで血糖降下作用を発揮する。

2型糖尿病治療における、DPP-4阻害剤の使用は、10年前に導入されて以来増加している。しかし、 DPP-4は血清中に存在して多くの細胞機能に関連する。また、免疫応答に関与するものを含む様々な細胞の表面に発現しているため、その阻害によって予期しない作用が現れる可能性がある。糖尿病の専門医は、「良い薬です。」と言うが、、、。

この研究に見る、炎症性腸疾患のような自己免疫状態におけるDPP-4の影響は十分に理解されていない。

炎症性腸疾患のマウスモデルに関する研究では、DPP-4阻害剤による治療によって疾患活性が低下することが示唆されている。一方、臨床データでは、炎症性腸疾患を有する患者の血清DPP-4濃度が、健常対照者よりも低いことが報告されている(1.2.3.)

出典文献
Dipeptidyl peptidase-4 inhibitors and incidence of inflammatory bowel disease among patients with type 2 diabetes: population based cohort study
Devin Abrahami, Antonios Douros, Hui Yin, et al.,
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鍼の腰椎椎間板ヘルニア治療の効果は牽引や各種鎮痛剤よりも優れていた [鍼治療を考える]

腰椎椎間板ヘルニア(LDH)治療の研究における、システマティックレビューとメタアナリシスの結果、鍼治療の効果は牽引治療や各種の消炎鎮痛剤よりも優れていた。

この研究では、LDHの治療における、鍼治療の有効性に関する証拠を評価するために、電子データベースを検索して鍼治療のランダム化比較試験(RCT)を同定し、RevMan 5.3によってメタアナリシスを行い、GRADE法を用いて証拠レベルを評価。

対象となった研究は30件で、患者は3503名。

鍼治療の総実効レベルは他の治療法よりも高く、腰椎牽引(RR=1.1, 95% CI 1.05 to 1.15; p<0.001)、イブプロフェン(RR=1.24, 95% CI 1.03 to 1.48; p=0.02)、ジクロフェナク(RR=1.44, 95% CI 1.24 to 1.67; p<0.001)、およびメロキシカム (RR=1.16, 95% CI 1.03 to 1.31; p=0.01)。

visual analogue scale (VAS) による評価では、腰椎牽引(SMD -1.33,95%CI -1.82〜-0.84; p <0.001)、ジクロフェナクナトリウム(SMD -1.36,95%CI -2.59〜-0.13; p = 0.03)。

日本整形外科学会(JOA)のスコアでも、腰椎牽引(SMD 0.96,95%CI 0.48〜1.45; p = 0.0001)よりも良好。

さらに、5件の個別試験における総実効率では、マンニトール+デキサメタゾンおよびメコバラミン、イブプロフェン+フグイグルトンカプセル、ロキソプロフェン、マンニトール+デキサメタゾンおよび huoxue zhitong 煎じ薬よりも高かった。また、2件の個別試験のVASスコアでも、イブプロフェンまたはマンニトール+デキサメタゾンと比較して鍼治療が優れていた。

私の経験でも、臨床的に、鍼治療はLDHに対して即効性が認められる。この結果から言えることは、一般的な病態認識の方に問題がある(仮説に誤りがある)。

出典文献
Acupuncture for lumbar disc herniation: a systematic review and meta-analysis.
Tang S, Mo Z, Zhang R.
Acupunct Med. 2018 Mar 1. pii: acupmed-2016-011332. doi: 10.1136/acupmed-2016-011332.

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